意識の声 No.90 より

1998年 1月号

 

★歴史の曖昧さと無知

 

 まことに歴史というのはいい加減なものです。わずか六〇年前の日中戦争でも日本軍が南京を占領時に三〇万の中国人を殺したという説と、そんなことは絶対になかったという否定説とが闘争を続けていますが、真相はともかくとして、たった六〇年前の歴史がこうも曖昧な結果を残すとは驚くほかはありません。

 

 私の見るところ、戦後生まれであの戦争を知らない人達が否定説を掲げているようですし、どうにかすると旧日本軍隊を美化するような言動さえ見受けられるのには首をかしげざるを得ない状態です。旧日本軍がいかに野蛮残虐な軍隊であったかは実際に体験した人でないと分からないでしょう。私などは運が良くて死なずに済みましたが、最初に入隊した松江連隊の同年兵推定約二千名が部隊で連日上級兵による殴打と残虐な仕打ちを受けた上で(これは明治以来の日本軍の伝統です)外地へ追いやられて戦死しているのです。兵隊をまるでムシケラのように扱った悪名高い旧日本軍を美化するような歴史を作り上げる歴史学者や文筆家達は、私に言わせれば、この連中こそ無知の最たるものなのですが、それはともかくとして、苛酷きわまりない初年兵の内務班の生活で、上級兵から自由主義者の烙印を押されて迫害を受けていた私を激励して助けてくれた上、みずからは命を捨てた二一〜二歳の亡き戦友達のことは今も忘れられません。彼らはすでに良き世界へ転生していることでしょう。

 

 上級兵に殴られたら、なぜ殴り返さないのかと思われましょうが、これは軍律によって禁じられており、もし殴り返したならば大変な処罰を受けて半殺しにされます。戦時中二年に及ぶ土方生活で体力を鍛えた私が対等に向かえば上級兵などは吹き飛ばすところですが、それは絶対に出来ません。とにかくあらゆる面で不合理を通り越した徹底した愚劣な規律による生活。それが旧日本軍です。こんな軍隊を美化するとは!少々過激な文章になって申し訳ありません。私は決して日本を無防備のフニャケタ国にせよと言うのではありません。暴虐な外国の軍隊が日本に侵入して躁躍したならば、最も困るのは女子供であって、それを守るのは男の力です。したがって防衛力はやはり必要なのです。無力であったら日本という国は消滅するでしょう。しかも今の自衛隊は昔の軍隊とは全く質が違いますから存在してしかるべきです。

 

 むかしあるGAP会員が日本の自衛隊の可否について質問しましたので、自衛隊は必要だと答えたら、「それはおかしい、アダムスキーの本によれば金星人達は敵から攻撃されたら反撃しないで喜んで殺されることを好むとある。その精神に反するではないか」と反問するものですから、私は「あんたは日本人のレベルと金星人のレベルを同一視している。いまの日本人で敵に喜んで殺される人がどこにいるか。みんなが助かることを考えているのだ。私も犬死にしたくはないよ。そのためには理不尽な敵を追い払わねばならないのだ」と答えましたが、相手は賄におちない様子でした。

 

 こんな誤解による狂信は最も排除すべきであって、私達は理性にそって現実の世界を直視した思想を持つべきです。金星人の生き方は私達にとって一つの理想ではあっても、今すぐに応用出来るものではありません。巨大な段差がありますから、少しずつ登る必要があるのです。飛躍しすぎて夢想の世界に没入しないことですね。

 

 

 

★苦難を脱する方法

 

 しかし個人的に応用できる法則は沢山あります。たとえば、私の所には会員の方々から「大変困っている。どうすればこの苦境から脱出できるか」という相談事が寄せられることがあります。なかには「人に騙されて多額の金を巻き上げられた。なんとか復讐をしてやりたい」とか、「自分を憎んでひどい目にあわすヤツがいる。どうすれば、これをかわすことができるか」等々。いろいろと悩みは尽きないようです。

 

 そこで私の回答はただ一つ。「相手を拝みなさい。そうすれば救われます」に尽きます。どんなに悪逆な人間でも宇宙の創造主に生かされていますから、他人の想念を感受する力を持っています。人間の生命力はすなわち宇宙の魂そのものであって、それは絶対的なものです。したがって人間はすべて「創造主の子]であると言えるのですが、そこの部分だけに着目して、その部分だけに敬意を払うのです。相手の分裂感情にとらわれてはなりません。そこで、自分に対してひどい仕打ちをした相手に対して、相手の顔を思い浮かべながら心の中で手を合わせて「あなたも創造主の子であり、宇宙の意識の世界では私と調和しています。有難うございます」と唱えて、相手を拝むようにするのです。すると不思議にも、あるとき急に相手が自分に対して親密な態度を示すようになって、これまでの無礼を詫びて、巻き上げたお金も返してくれるようになります。このような実例はいろいろとあるのです。肉体の健康も、これこそ自分の想念の持ち方によってどのようにもなります。体に悪い部分があれば何はおいてもまず病院に行き、検査や診察を受けて適切な処置をとるべきですが、それでも治らぬ場合は決して絶望的にならないで、むしろ強烈な信念の力で治すように努力をするべきです。すると治ります。私がこのトシで(今年の七月で満七四歳になります)人が驚くような体力を発揮するのは、なんといってもアダムスキー哲学を実践してそれを生かしているからです。これだけは大声で叫びたいですね。「アダムスキー哲学を実践しなさい。そうすれば健康になれますよ」と。具体的に言えば、なんといっても大宇宙思念を絶えず行なうこと。そして自分で作ったミラクルイメージ(奇跡を起こすイメージ)を描き続けたり、またはミラクルワード(奇跡を起こす言葉)を絶えず唱えたりするのです。これは自己暗示ともいいますが自分をどのような人間にもする魔法の力を発揮する方法です。これによって科学的に言えば、自分の体の全身を形成する全細胞の遺伝子の良い遣伝子をオンにする、つまり活性化させるのであって、悪い遺伝子をオフにすることになり、肉体の健康は確実に得られます。このことは筑波大学教授の村上和雄先生の「生命の暗号」という本に非常に分かりやすく書いてあります。(サンマーク出版/\一六〇〇)。

 

 私は万巻の書物を読みましたが、これほどにアダムスキーの宇宙的な哲学を科学的に実証している本は他にありませんでした。特に村上先生が「宇宙には偉大なもの(英知)があり、それが万物を生かしている」といって、その偉大なものを英語で「Something Great」と名づけておられます。科学者でこんな事を表明した人は他にいません。それほどに村上先生は宇宙に対する洞察が深いといえるのでしょう。この本は以前にも紹介しましたが、またあらためてお伝えしました。

 

★日本の未来について

 

 現在日本は未曾有の経済不況におちいっており、大会社の倒産、株価の下落、円相場の変動、大地震の可能性、その他の現象で大変な時期にあります。政府が無能だという声もありますが、世界的な大不況と連鎖している以上、誰が総理になっても同じことでしょう。しかし日本人は「他人を許す」という美徳を持つ民族ですから因果の法則によって国が破滅するようなことはあり得ません。私達に重要なのは絶対に失望や悲観的な想念を起こさないことです。これに類したことを私は何度申したか知れませんが、どんなに力説しても重要なのが宇宙哲学による光明思想です。近来はこの方面の書物が雨後のタケノコのように出回っていましたが、いまは少し落ち着いたようです。

 

 

 

★大母船からの激励か

 

 去る大晦日の深夜、最後の年賀状書きと書簡作成を終えて一二時近くにポストへ投函した帰途、マンション前の道路から西の空低く巨大な白銀色の物体が斜めに出現しているのを目撃。ハッとして見つめているうちに次第に光体は消滅しました。その直前に私は自宅であるUFO関係のビデオを見て不快感に襲われていたのですが、この出現によって「そんなことでくよくよしなさんな。堂々と自分の道を歩みなさい!」という激励の印象を受けました。これでまた元気百倍です。いったいに私は自宅マンションからなぜか西の空に大母船やスカウトシップの出現をよく目撃します。方角から言えば東京駅方面です。千葉県寄りの東にはほとんど出現しません。これは都会地のビルの密集地域の人達は空を見上げないから出現しやすいという理由によるのかもしれません。

 

 

 

★ハルマゲドンの意味

 

 過去に某邪教がハルマゲドンという固有名詞を振りかざして恐怖をあおりました。このハルマゲドンというのはイスラエルのメギドという土地の丘を意味するヘブライ語にすぎません。私はこのメギドにGAPの旅行で何度も行きましたが、数千年昔のソロモン王時代から構築された壮大な要塞の遺跡が残っていて、特に地下深く掘られた水道のトンネルには驚嘆のほかはありません。このトンネル内も歩くことが出来ます。

 

 ハルマゲドンという地名がヨハネ黙示録の一六−一六に出てきますが、それには「三つの霊はヘブル語でハルマゲドンという所に王達を招集した」とあるだけです。この三つの霊というのは、一三節から次のように出てきます。「また見ると竜の口から、獣の口から、ニセ預言者の口から、カエルのような三つの汚れた霊が出てきた。これらはしるしを行なう悪霊の霊であって、全世界の王達の所に行き、彼らを招集したが、それは全能なる神の大いなる日に戦いをするためであった」とあります。

 

 何のことやらさっぱり分からぬのがヨハネ黙示録の特徴ですが、かりに彼が何かの未来を予言したとしても、これはユダヤ民族の将来を示唆したのであって、いくらイエス門下の俊才であったヨハネといえども、当時の知識で世界的な構図が描けるわけはありません。いつの頃からハルマゲドンが世界の大戦争を意味する暗号みたいになったのかは知りませんが、曲解も甚だしいものです。私が先般メギドの現地の売店で入手した英文解説書もハルマゲドンの世界大戦争説に全く言及してはいませんでした。

 

 

 

★永遠の人生をすごしている私達

 

 近来、有名な方々が次々と逝去されますのはまことにお気の毒なことです。それについての多くの方の弔言を読みますと、人間の生命は一回限りだから体を大切にして長生きをしようと誰もがハンで押したように語っています。人間は永遠に転生を繰り返しながら生きてゆく事実を高度な知性と教養を有する人達が全く知らないのです。そうなると現在の地球の諸科学や学問はすべて「人間の生命は一回限り」と信じきっている学者によって構築されているのですから、地球世界の学問は根本から誤った次元のもとに成立していることになります。そのことを知るならば私達が少々の学歴や学識に欠けるからといって失望する必要は絶対にありません。全く間違った次元の中で私達は全く異なる宇宙的な次元を意識しながら生きているのです。これに気づいている皆様方はこの世で最高の覚者であると言えるでしょう。今後とも堂々と生きて行こうではありませんか。皆様お元気でおすごし下さい。