意識の声 No.17 より
1991年 12月号
この一二月は昭和一六年(一九四一年)一二月八日に日本の海軍航空隊がハワイの真珠湾を攻撃して米東洋艦隊を撃破してから満五〇年になるのですが、私はツイ昨年のように思われます。
その当時私は数え年で一八歳、九州若松市の伯父の家で病気で寝ておりましたが、開戦の報に愕然とし、「これはもうだめだ。アメリカのような大国を相手に大戦争を仕掛けるとは言語道断。いずれ日本は必ずやられる。早く健康になって、戦争に負けたらアメリカに行こう」と思っていました。
開戦の少し前に有名なバイオリニストの諏訪根自子さんが、アメリカ向けの短波放送でシューベルトの『アベマリア』を演奏したのを病床でラジオで聴いて、世の中にはこうまで美しい音楽があるのかと、ものが言えないほど感動したのを憶えています。
その後、私はある新興宗教に凝りだして、「心を変えれば肉体も変化する」という教義を熱心に実践し、そのために奇跡的に健康を回復し、それから徴兵逃れのために山奥の発電所の建設工事に土方として従事するようになったのですが、結局私も軍隊に取られて大戦末期に松江連隊に入隊したわけです。当時学歴がなかったものですから(現在も学歴でござると言えるようなものではありませんが)、幹部候補生の受験資格がなく、平兵で入ったのですが、後で考えてみると、これが幸いして私は死なずに済んだのです。松江連隊の同年兵で幹部候補生だった人は全部戦死しています。私は当時、根っからの自由主義者でした。しかしそんなことを公言しようものなら国賊として処刑されるような恐怖の時代ですから絶対に顔には出さなかったのですけれども、上官は私の態度で分かるとみえて松江ではひどい迫害を受けましたね。
そんな私ですから、真っ先に危険な戦場へやらされるはずなのに、なぜか少数の内地残留組に入れられて、結局空襲を受けない最も安全な場所だけを歩いているのです。松江から新潟県の高田連隊へ行き(ここでは非常に楽をしました)、そこから長野県の松本航空隊へ転属して、そこで終戦を迎えたわけです。松本の部隊では平兵ながら特に優遇されて部隊本部付きとなり、将校の秘書のような形で事務関係の仕事をやっていました。松江連隊の同年兵の推定二千名が全滅したことは戦後に知りました。その中には私の小学校時代の親友も含まれています。大体に私の小学校時代の同級生で、部隊は異なっても戦争で戦死または戦病死をした人が八〜九名はいます。田舎の小学校の約四五名ほどの男子クラスの二割が死んでいるのですから、全国的に見れば大変な数の若者が戦争の犠牲になっていることが分かります。もう戦争は絶対にやってはいけませんね。
あとになって気づいたのですが、当時からの私の人生には一種の不思議な宿命がつきまとっていました。あの大戦争中でも私は危険に遭遇しそうになるとなぜか逃れるのです。だいいち、小学校卒業間際に大病をわずらって進学できず、その後、伯父を頼って働きながら学校へ通うことを計画したのに、またも大病を患い、志を果たせなかったということを考えますと、私の進学を阻止しようとする不可視な力が働いていたとしか思えないのです。当時、上級学校へ進学して人並みの学歴を身につけていたならば、たぶん私も戦死していたことでしょう。ですから学歴らしいものを身につけたのは戦後になってからです。二度も急性肺炎で死にかけたのが助かったのも、抗生物質などなかった原始的な当時の世相から見ればやはり不思議です。
その他、私の生活体験は波瀾万丈的な要素を帯びており、到底まともの人生コースではなかったのですけれども、ここまで大過なくすごせたのは、やはり不可視な"何か"に関連があると思いますね。
人間とは全く不思議な存在です。でたらめ極まりないと思われる低次元な惑星地球でも、人間界には整然とした一つの法則が働いていることが分かります。それは原因と結果の法則とも言えるもので、要するに「物事は成るべくして成る」ということに尽きます。成らぬ事はどんなに焦っても成りません。というよりも、むしろ一人の人間が進むべき進路は、「これなんだよ」と何物かが、あらかじめ設定しているように思われるのです。誰がそれを設定したか? それは実に自分自身です。長い過去生からの脈絡とも言うべきものが連綿と続いてきて、それが今生の自分の宿命を決定してしまという法則は、まず間違いないでしょう。
といって、ここでは過去世に執着して何もかも諦めようというのではありません。むしろ、だから「人間はどのような運命をも自分の力で決定することができる」という建設的な希望が見出せることになるのです。自分の宿命はすべて自分で作っていると原理を知るならば、こんな素晴らしいことはありません。そのときこそ人間の完全な自由性を認識できるからです。天使にもなれば悪魔にもなる。全く自分の意のままに自分で自分を演出しているのが人間です。
人間はどうすれば天国のような生活を過ごせるか。答えは非常に簡単です。自分が「今、天国にいる」と思えば良いのです。その強い思念は自分の生活を次第に変えていって、本当に天国のような環境に変化させるでしょう。想念の力の魔術的な要素を知るならば、私達は冗談にでも破壊的な想念を起こすわけにはまいりません。むしろ明るい建設的な希望に満ちた想念の放射体となって周囲を照らすならば、それは必ず周囲の人達に良き影響を与えることになり、その人達の良き想念はまた他の人達に良き影響を与えますから、このようにして無限に良き想念が伝播して行きます。このような人はまず自分自身の運命を歓喜に満ちたものに形成するはずです。
私は今、良き想念を放射する運動をGAP内部から起こそうと考えています。このささやかな活動によって日本中に良き想念が伝播すれば、それは世界にも拡大するでしょう。こうして世界の和平にいささかの貢献ができれば、それはまた自分自身の良き宿命を作ることにもなります。そのような人は、おそらく今生を終えてから異星に転生して素晴らしい生活を過ごすようになるでしょう。
とにかく理論(コトバ)に終始するだけではどうにもならず、人間、何かを実践しなければ前進は望み得ないことを腹の底から痛感するこの頃です。
来年こそは日本GAPにとって画期的な精神革命を図る年にしたいものです。それは日本GAPを『宇宙的善良想念放射団』として密かに活躍する『準異星人グループ』たらしめることにあります。私達を悪く言う人があればその人のために良き想念を放射してあげましょう。心身共に苦しんでいる人があれば、それが治るように放射してあげましょう。そしてスペースブラザーズに感謝と報恩の想念を放射しましょう。何よりも大宇宙の意識(創造パワーと英知)に対して自分を捧げようではありませんか。