特別寄稿 「宇宙的フィーリングの開発」
久保田八郎
山形支部の皆さんには平素多大なお世話に相成り、厚く御礼を申し上げます。
私がGAPを開始して以来、今年で二十年目になり、年月の経過の早いのに驚いています。当初手書きのガリ版で粗末な機関誌を作って十数名の方にお送りしていたのですが、その頃生まれた人がもう二十歳になります。アッというまに夢のように過ぎ去った過去を回想しようにも、走馬燈の動きや変化があまりにめまぐるしくて、鮮明な記憶がよみがえってきません。
しかし確実なことが一つあります。どのように現象が変化しても、その底を貫く法則は不変であるということです。また肉体を生かす生命そのものも不変です。変化しているのは私の肉体とマインド(心)であり、それを支えている根元的な意識は全身に充満しており、これは生命を終えるまで続きます。
この場合の意識というのは通俗的な意味での意識よりももっと深い意味を有していて、生命、パワー、英知というようなものの総称した言い方です。
この意識なるものは万物を支える根元的なもので、善悪を超越しています。悪人だから意識の供給量が少ない善人だから意識の供給量が大であるというような不公平さは見られません。万人を公平に生かすエネルギー源です。
この点に着目する必要があります。人間を生かす根元的なパワーが絶対に公平ならば、私たちはその公平さをまずバックボーンにすべきではないでしょうか。一本の樹木が万象に対して公平に生きるように、人間も万人に対して公平な態度を持するべきではないでしょうか、と考えられるのです。
ところが人間には肉体に付随するマインド(心)というものがあって、これが中心的な意識というものに気付かないで、勝手な振る舞いをやっています。自分のマインドを仔細に観察し、分析してみるとわかりますが、まるで暴君のように我が物顔で暴れまわっており、手の着けようがないことが判明して愕然とします。つまりマインド事態の好き嫌いが激しすぎるのです。
そこで大切なのは、マインドを抑制しておとなしくさせ、内部の意識と一体化させることであり、これによって私たちは公平な存在として生きられるようになり、すべてと調和するようになります。
そのときこそ宇宙的な生き方が始まります。なぜなら意識は"万事を知る者"ですから、マインドを意識と一体化させれば、意識からインフォメーションがマインドに伝えられるのです。それは印象、声なき声として伝えられるでしょうし、時には映像となって見えることもあるでしょう。これをテレパシー、透視と呼んでいます。
以上の事柄は読者の方もすでに充分にご承知で、今更こんなことをと思われるでしょう。
問題はマインドと意識の一体化といってもそれをどんなふうにして行うのかにあると思います。"一体化"というだけではきわめて抽象的ですから――。
これは言葉ではあらわせない一種のフィーリングの問題です。テレパシーや透視などが言葉を越えたフィーリング的な現象であるのと同様に、マインドと意識の一体化は全身で感じるフィーリングの現象です。明日食べる米が無くなり、財布が空になっても、今の自分が"何か"によって生かされていると感じて、生命というものに対する歓喜が爆発的にわき起こるようなフィーリング――これがマインドと意識との一体化です。
そのときにある種のひらめきが心中にわき起こります。「明日食べる米代がなければ**氏の所へ行って、とりあえず借りればよい。氏は喜んで貸してくれるだろう」と。
そこで氏の所を訪ねて事情を話しますと、喜んで金を貸してくれた上、収入のある仕事の世話までしてくれるかもしれません。氏が仕事の世話までしてくれないにしても、帰途、駅のスタンドで買った新聞の求人広告で、良い就職口が偶然に見つかるかもしれません。
しかし、この"フト"とか"偶然"と思われる現象が実は偶然ではなく内部の意識が「スタンドに行って新聞を買いなさい。」と指示したのに対してマインドがそれとなく従った結果なのだと考えれば(実際、そうなのです!)、マインドと意識の一体化がいかに重要であるかがわかろうというものです。
マインドは通常現象の表面だけ見て浮かれ騒いでいます。したがって物事の背後に潜む真因まで見極めようとはしません。たとえば、ある人が何かの事情で多年住み慣れた東京から郷里に帰らねばならなくなった場合、「郷里に帰った方が自分にとっては良いことになるのだ」という真因を感知し、それが不可視の摂理に導かれたのだということまで洞察するほどの鋭敏な感覚を持つ――。これが宇宙的な生き方といえるでしょう。
このような宇宙的な感覚、すなわちフィーリングを開発するのは容易なことではありませんが、決して不可能ではありません。誰にでも出来ることです。その秘訣はアダムスキーの「生命の科学」と「テレパシー開発法」に詳述してあります。
山形地方の美しい大自然の中で宇宙的感覚を開発される皆さん方は、本当に恵まれた環境の中にあると言えます。大いに頑張って下さい。五月の山形・仙台支部大会を私も今から非常に楽しみにし、期待しております。再会して宇宙的な雰囲気の中で、心ゆくまで語り合いましょう。
日本GAP山形支部報ユニバーサルメッセージ6号
1980年3月16日発行