宇宙哲学と偉人伝

篠 芳史

 

 宇宙哲学を学び日常生活の中で私なりに実践してゆくに従って改めて考えました。この地球上で多くの人々が存在している中で偉人と云われている人々は宇宙的なカルマを持っていた筈であり、又、宇宙の法則を自身の内部で意識的に感知し多くの人々の為に貢献したのであろうという事です。

 

 そこで偉人と賛えられた人々の伝記を読み、そこから宇宙哲学をより以上に理解することと実践に役立つ事を確信して早速伝記を読み始めました。偉人伝を読むのは、小中学生以来であると記憶します。私は科学者、音学家は沢山読んでおりましたので、今回は哲学の学びに比較出来る様な人々を選びました。又その人選は、伝記として読むのは始めてであり、その功績に関してこの機会に詳細に知りたい人々を選びました。

 

 その人々は 「ヘレンケラー」「ケネディ」「ガンジー」「ナイチンゲール」です。最後に偉人伝中人気一位と云われ、私も何度か読んだ「リンカーン」をあらためて読み直し、過去に感じた「リンカーン」と今回感じた「リンカーン」の相違及び今回読んだ全ての人々の特徴を宇宙哲学を基本にして比較してみることにしました。

 

 読むにあたってどんな感じを受けるのかは見当がつきませんでした。又宇宙哲学とどの様な比較が出来るかという事も推定出来ませんでした。しかし、その結果は大変有意義なものでした。数多くの印象を受けましたが、その一部を述べたいと思います。

 

 ヘレンケラーについては、もう一人の人サリバン先生を抜きにしては語れません。アン・マンスフィールド・サリバン女史は立派に一人で偉人伝になる方です。見えない、聞こえない、しゃべれない三重苦のヘレンケラーが大学を卒業し、日本語訳の文庫本にして四五〇頁の自伝を書いている事大変な偉業です。その文章は格調高く、内容は多くの教えを含んでおります。又決して自分をおごっておりません。読む前には三重苦のイメージから暗い感じを多少持っている様に思いこんでおりましたが、そのような事は全く無く、信念と希望と忍耐を持った明るい方であったので読んでいても引き込まれてゆきます。
聖書を大変愛し自分なりに神について述べておりますが表現こそ違いはあっても「宇宙の意識」としての理解があったことは確実です。宗教の教えからは脱皮しており内部の印に従っている様子は自伝の中で十二分に感じられました。又、四感の中、二感の目、耳を失っておりますが大変テレパシックであることは自伝の文中に度々述べられております。ケネディの名前はアダムスキー全集の中に度々登場する為、是非機会があればと期待しておりましたが、その人間としての力強さは私の予想をはるかに超えるもので・・・・否予想していなかったものと云えるでしょう。ノーベル特別平和賞を授与したいと考えました。

 

 地球の全人類の平和を愛し現在の地球の上で修正しなければならない事を予め学び、自分がその修正の実行の為にこの地球に現れ、英知ある行動で難しい物事を次々に解決する様子はマインドで創作する物語では感じられない迫力と本当の平和の使者が指揮をしている様子を私の内部の意識が教えてくれました。キューバ危機で世界大戦を避けたのは力で相手国をねじ伏せたのではなく、相手の意識に訴える手段を最後迄持ち続けた成果に思えました。

 

 総体的に感じる事は、完成された人という印象で、何を行なうに於いても自信に満ちており、この地球に世直しに来た様に感じました。

 

 ガンジーは自分の肉体以外には何も持たなかった方です。それは生命の科学に述べてある、イエスの言葉「命は食物にまさり、あなたがたの体は着物にまさる」という個所が思いうかびます。

 

 なぜ宗教的争いや人種差別の激しいインドや南アフリカで自分の信念を貫いたのでしよう。それは宇宙的使命を帯びていることを感じてる様子でした。格調高い波動は自伝の中から私に伝わって来ました。

 

 ガンジーは、その当時の習慣を打破して世の人々の為に数々の行いをしましたが、その行いに対して自分では実験と呼んでいました。実験であるのでその方法よりも良い方法が発見された時は素直に改めました。それは進歩への最短距離でした。又、悪い事は、行ってはいけない。と自から戒めそれらが自分から無くなる事を望み努力していました。この事は良き想念を放つ事の宇宙哲学の実践そのものです。

 

 ナイチンゲールは、イギリスの上流家庭の令嬢でありながら、「私は幸福でない」と思い、自分の生きる使命と目的を探していました。病院は、世の中のみじめなもの悪いもののふきだまりであり、看護婦とは、怠け者のふしだらな女性で、その頃の女性の仕事で一番評判が悪くいやしまれていました。

 

 後年ナイチンゲールの功績により病院の改革、衛生思想の普及、有能な看護の専再家の教育等その他関連部門は多くの発展をしたのです。ナイチンゲールが意識による声なき声をかすかでもハッキリ聞いた事は四度体験していると述べてあります。その中の一度は自分の使命を考え、迷い、神に(宇宙の意識に)話しかけると、心が静まり、あたりの静かな空気に体が溶けこんでいき、「おまえの進むべき道はおまえの信じる世の中の為になる貴い仕事をすることだ」とハッキリ聞こえ、その事を自分自身のメモに書いてあるそうです。

 

 リンカーンを改めて読み直したい理由は三つありました。

 

 第一番は南北戦争の事ですが、奴隷解放の為に行なった戦争と思い込んでいた為に、その理由を知りたかったのです。しかし読んだ結果は思い込み違いで安心しました。リンカーンは戦争に対しては全く反対していた事が理解出来ました。第二番はリンカーンが後のケネディであろうとフィーリングを受け、その宇宙的な進歩と変化を確認したかったのです。私のフィーリングが正確であればリンカーンとケネディに表現されるものは、前者が体験を重ね進歩を力強く成長し、より以上の宇宙的貢献をする為に後者となって再び現れたと思われる事です。広大な宇宙の教室の中で学び、その学びの成果を英知と力によって地球が宇宙の中で立派に自立出来る事を願いながら何度も宇宙的平和の為に貢献している使者の雄大な姿です。

 

 第三番は子供の時のリンカーン伝の読書感と宇宙哲学を学んだ現在の私の読書感の相違です。その違いのハッキリ分かった事は感じ方の質の違いである事を認め、宇宙哲学を学んだ事の栄誉を深く感謝し大変嬉しく思いました。読んだ偉人の人数は五人でした。全員、生き生きと力強く、悲そう感 、暗さ、同情、あわれみを受ける様子は全くありませんでした。各人各人の行動の中でどれを取り上げてみても必ずアダムスキー全集の中の一節思い出さずにはいられません。

 

 特に生命の科学の一節「われわれは過失をおかします。しかしわれわれが賢明で、理解を望むならば、過失をおかした理由を知り、それを修正するでしょう。それで一つの教訓を与えてくれたその体験に感謝してよいのです。」「この体験がなければもっと良い方法がつかめないからです」。(生命の科学第二課)を思い出しました。

 

 彼らは全ての考えを良きレッスンと考え、他の人々から同情される隙を持たないのです。もしも同情する人があってもそれは同情する人の思い違いです。私も今回の機会がある以前は同情していた部分がありましたが、彼らにはその様な弱さは全くない事を知りました。彼らは、神につての考えを "宇宙の意識" であるというフィーリングを持っています。宇宙の法則の実践者に必要な、 "信念" "希望" "忍耐" はどんな時にも忘れていません。あらゆる人々、万物平等を常に信条としています。宇宙の法則の実践を表現していただいた五種類の事実は物語ではありませんでした。

 

 私は宇宙哲学の実践の糧とする為に何かをつかみたい願いでフッと思いついた読書計画が思ってもいない成果となりました。宇宙哲学実践の教師の伝記であったからです。今でも私の日常生活の中で解決出来ない事柄が起きた場合は大変参考になっております。

 

 その後、生命の科学を何回か読んだ時、偉人の誰かのイメージが表われて生命の科学の理解の仕方が変わりました。私達が宇宙の意識と一体となることが人間の義務であり目的である事を改めて力強く感じました。

 

 私達GAP会員はこの地球場に於て最先端の教えを受けているのです。それは、第一にアダムスキー全集を読んでその著書に述べてある内要を理解し、第二に、そのことを日常生活の全てにわたって実行することなのです。実行することによって自分自身の肉体の習慣細胞を宇宙的な働きをする宇宙的細胞に変化させることです。

 

 私の肉体細胞が一つでも二つでも宇宙的細胞になることを願いながら私の方法によって実践に励んでおります。今回は偉人の方々の伝記を体験談とするならば、宇宙的実践を目標とする私にとって大変参考になる体験談でした。
アダムスキー哲学と日常生活を混和して、一つでも多く宇宙的な行動を身につけたいと願っております。

 

今回の著書名

 

◎世界偉人伝ヘレンケラー 借成社
◎ヘレンケラー自伝 講談社
◎わたしの生涯 角川文庫
◎ケネディー 借成社
◎ケネディ 角川文庫
◎ケネディとニューフロンティア 清水新書
◎ガンジー自伝 中公文庫
◎ナイチンゲール 講談社
◎リンカーン南北分裂の危機に生きて 清水新書