投稿者 ? 日時 2007 年 4 月 19 日 23:22:26:
4月19日14時1分配信 毎日新聞
◇“深呼吸”保ったが今後も監視が必要−−京大生態学研究センター
記録的な暖冬の影響で、琵琶湖北湖(琵琶湖大橋以北)で例年冬から春にかけて起きる表面と深層の水の混合「全循環」が、観測史上初めて3月上旬になっても確認できず、深層の水に溶ける酸素(溶存酸素)の濃度回復が進まない状況が懸念されていた問題で、深層の溶存酸素濃度が3月末になってほぼ回復したことが、京都大生態学研究センター(大津市)などの調査で分かった。年に1回、湖底付近も含み湖水全体が酸素を回復する“琵琶湖の深呼吸”はなんとか保った形だが、温暖化の進行に伴い、似たケースが今後起こることも考えられる。【服部正法】
北湖では湖面が冷やされて、例年1〜2月に循環が起き、深層まで酸素濃度を回復するとされる。しかし今季は、3月上旬になっても深層の酸素回復が十分でない状態であることが京都大や県琵琶湖・環境科学研究センターなど各研究機関の調査で判明。3月10日には懸念を深めた有志の研究者らが危機感を表明する異例の緊急声明を発表していた。研究者たちは、回復程度が本当に十分だったかなどを検証し、引き続き監視していく方針だ。
姉川沖から北湖を横断する形で行った京大生態学研究センターの調査では、昨年は2月上旬の段階で酸素が十分湖底付近まで行き渡っている状態だったが、今年は2月下旬でも酸素飽和度が60%程度の低酸素状態が見られた。3月上旬にも調べたが、高島市・今津沖の深層で飽和度が50%程度の低酸素地域も発見される事態に。3月中旬の寒波の後も低酸素状態が確認されていたが、同28日になってすべての観測地点(11地点)で飽和度が80%以上に回復していたという。
京大生態学研究センターの永田俊教授は「酸素濃度は一応回復したが、完全に回復したかどうかは検討が必要。また回復時期がずれ込んだことで、低酸素状況にさらされたことがどう影響するのかや湖底の堆積(たいせき)物への影響も見ていく必要がある」などとした上で「仮に温暖化の影響なら、今後も同様の状態が起きることや循環がなくなることも考えられる。酸素分布などだけでなく、循環の物理的プロセスなど総合的にとらえて、今後どうなるか予測していくことが必要だ」と話している。
4月19日朝刊
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