投稿者 コスモス 日時 2000 年 4 月 08 日 18:29:28:
転生の際の記憶の保持について
堀晃という作家が書かれた「電送都市」というのSF短編があります。
物質電送が実現した未来社会で、ある町を全部したところ電送途中で事故
が起こり、平行世界に転送されてしまったという話です。そして、ある男がその
都市に住んでいた女を忘れることができず、同じ電送回線を通って平行世界に
再現された都市へ電送され、かつての知り合いに合い、事故後の経緯を知ら
されます。
事故の経緯の説明の中で、物質を電子情報化した際に、その情報を一種の
多次元球に配列するが、重要度の高い情報を球の内部に配置して、電送時の
雑音から保護されると語られています。
<電送都市の住人の語り>
「その結果、何が起こったと思う。超空間回路の事故でこの宇宙へ送り込ま
れた時、凄まじい雑音の被害を受けた。それで、ランクの低い情報は雑音に
混じって大量に失われた。・・・残った情報で再生された姿がこれだ。つまり、
その物質や生体の、最も本質的なものがより顕著に発現するかたちで再生
されたのだ」
この理論自体はフィクションなのですが、転生の際の記憶の保持について
ヒントを示しているように思います。
私たちは転生によって新しい肉体を獲得し、前生の記憶を保ちます。
それだけではなく、現生においても記憶は常に再構成されていますし、肉体
も日々再生されています。
つまり、私たちの心が重要視する情報が残る状態で、記憶や肉体が再生さ
れ続けていると思われます。
とすれば、特定の物事に極端に集中し続けたために病気になること、反対
に気持ちを切り替えたことにより急速に回復することが説明できます。
<電送都市の住人は次のように男に語ります。>
−−もうわれわれには他に行くべき宇宙はないんだ。あんただって、この
世界で生きていくためには、一度、自分の最重視した情報が何であったのか
知っておく必要があったんだ。
私自身も日々どんなことに関心をもち、どんなことを重要視しているのか注意
したいものです。未来の私、来世の私に善き記憶を残すために。。。