投稿者 松本 日時 2000 年 8 月 06 日 12:11:22:
回答先: Re: 量子コンピュータ 投稿者 松本 日時 2000 年 8 月 03 日 23:39:23:
|> 量子効果に関わる諸実験を整理しても、ほんとうの
|> ところはなかなかわかりそうもありませんが。
|>
とはいえ、ついでですので
量子効果の最近の諸実験の一例を追記します。
また、意識の遅れの続編は下記の資料にあるようです。
意識の遅れ
Libet,B.(1990)in The Principles of Design and Operation
of the Brain,edited by J.C.Eccles and Creutzfield
(Experimental Brain Research,Series 21)(Spriger,Berlin,
Heidenberg)
実験
1.電子の二重スリット実験
1987年;日立研究所と学習院大学チーム
・「二重スリット」は電子複プリズムから製作。
・電子が衝突するスクリーンにはテレビ画面を使用。
・電子線源としては電子顕微鏡のチップを利用。
・電子が画面に衝突すると明るい点が残り、連続した電子の
飛来によって画面上にはしだいに干渉縞が形成されていく。
個々の電子は一つの明るい点を残すだけだが、スクリーン
上に形成されていく模様は干渉縞であり、電子は二つの孔
を波動として通過することが示された。
2.原子の二重スリット実験
(1)1990年代初頭;ドイツのコンスタンツ大学チーム
・ヘリウム原子を金箔上の1マイクロメートルのスリットを
通過させ、向こう側には検出器をおいて実験。
・検出器のいろいろな場所に飛び込んでくるヘリウム原子の
数を測定した結果、その分布はよく知られた干渉縞を示し
た。
(2)1990年代初頭;MIT
・ナトリウム原子ビームを使用したが、同じ結果。
・二つの孔の実験装置を通過する単一の原子は二つの道を
一度に通過し、自分自身と干渉する。単一の原子が同時に
二ヶ所(二つの孔)に存在できるかのように思える。
3.量子の鍋の実験
アメリカ国立標準技術研究所
・ベリリウムイオンは正の電荷を帯びている。それゆえ電場
で捕縛して、一種の電気的落とし穴のような所、つまり、
「鍋」に閉じ込めることが可能。
・実験開始時には、実験チームがレベル1と呼ぶ同じ
エネルギー状態にすべてのイオンがあった。そして正確に
256mSecの間、ある決まった周波数の電波を照射す
ることによって、全てのイオンをレベル2と呼ぶより高い
エネルギー状態に励起させた。これが、「鍋」が沸騰した
状態である。
・数千のベリリウムイオンが入っている「鍋」を沸騰させ、
その沸騰している状態を観察したが、その観察行為が沸騰
をストップさせてしまった。
4.エリツール-ベイドマンの爆弾検査問題の実験
1993年;ツァイリンガーとクィアット、バインファーター
、カセビッチの実験
・爆弾などを全く浪費しないで実験を実施。(原理的に同様
なものを用いた。)
・原理;
爆弾についた超高感度の起爆装置は、たった1個の可視光子
の衝撃に反応する。爆弾の山の中には、その起爆装置が動
かないたくさんの不発弾が紛れ込んでいる。
問題;保証つきのまともな爆弾を破壊しないで見つける
には?
・古典物理学ではそれを見つける方法は存在せず、爆弾が
まともかどうかを確かめる唯一の方法は、爆発させること。
・量子力学によって、ある出来事が、実際には起こらなかった
けれども起こる可能性があったかどうかを調べることがで
きる。量子的な重ね合わせの状態を利用した「零位測定」
により解決。