ツイスターについて


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投稿者 松本 日時 2000 年 12 月 06 日 22:53:06:

回答先: Re: 動物の脳 投稿者 星は何でも知っている 日時 2000 年 12 月 06 日 18:33:15:

|> いつも有難う御座います。
|> なんとなく、分かるような気が致します
|> より理解を深めるために、勝手なお願いですが
|> ツイスター変換について、すこし補足して
|> いただけると助かります。
|> よろしくお願いします。

∇現時点ではあくまでも”かもしれない”程度の話
にとどめて置いてくださいね。

ペンローズのもくろみは、ツイスターを通して、
物理的因果性をよりよく理解することだった。
 意識が脳の中の物理的プロセスの非局所的な性質
に随伴するという、現代の脳生理学の知見からまず
疑い得ない事実の背後にある深い意味を理解する
ためには、ツイスター類似の変換を通して、脳を含
む物理系を支配している因果性の本質を再検討する
必要があるかもしれない。

∇ツイスター変換について
R.Penrose&W.Rindler,Spinors and space-time,
vol.1,2,Cambridge University Press,(1984).
「ペンローズの量子脳理論;ペンローズ他」より
 ツイスター理論をやるということは、通常の3次元
空間での思考をやめにして、複素射影空間の幾何学で
すべてを考えることに相当する。ニュートン力学で
方程式を解くのと同じように、あるいは一般相対性論
でアインシュタインの方程式を解くように、ツイスター
理論にも「ツイスター方程式」と呼ばれるものがあって、
それを解くわけである。なんでふつうの射影空間でなく
て複素数にまで拡張した射影空間が必要かというと、
ペンローズが、相対論だけでなく量子論までも全部
ツイスターで扱ってしまおうと考えたからである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”ツイスターはスピノールからできている”
 数学的には、ツイスターはスピノールのペアである。
ツイスター方程式を満たす二つのスピノールの組みを
ツイスターと呼ぶのである。そこで、スピノールの
説明をしないとツイスターを理解することができない
ことになる。・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 さて、スピノールは、一言でいうと、「光の平方根
のようなもの」である。もともとは、電子の回転(
スピン)状態を表していて、右巻きと左巻きがある。
通常の物体は3次元空間内で360度回転すると元の
状態に戻る。・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ところが、スピノールは、1回転しても元の状態に
戻らないで、2回転してはじめて元に戻る奇妙な存在
なのだ。これは、要するに、まわりの環境とからみ
あっていることを示している。・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

∇以下は、おまけです。
”意識と因果性”数理科学2000.10から
 では、意識の非局所性の起源は何なのだろうか?
いかにして、私たちの意識は、脳内の物質過程の
非局所的な性質を反映するような表象を持ちうる
のだろうか?とりわけ、意識を支える脳内の物理的
プロセスは、局所的な相互作用に基づいて進行して
いるのに、どうして、意識は、物理的プロセスの
非局所的な性質を反映したような形で生まれてくる
のだろうか?

 この問題を、表面的なごまかしではなく、根本的、
かつ本質的な意味で解決するためには、結局は因果性
(causality)とは何か、そして、因果性の舞台となる
時空間構造はいかにして生まれてくるかというところ
まで遡って考えなければならないように思われる。
 ニュートン以来の物理学は、時空間構造の中の物質
系の変化を、因果的に記述することに成功してきた。
 ここに、因果性とは、ある時間のパラメータを前提
にして、「ある時刻における系の状態が与えられた時、
それに基づいて、微小時間後の系の状態が導入される」
という意味である。相対論における固有時とは、結局、
このような意味での因果性を満たすような時間パラメ
ータであるし、相対論的な時空構造そのものも、結局
のところ、因果性を満たすような時空構造の構成の
仕方を与えているといえる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「脳=因果性に従う物質系」という大前提を疑わ
せるような証拠は一切存在しない。・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 意識が因果性に何もつけ加えないとすれば、そも
そも意識はなぜ存在するのか?進化の過程で、意識
を持つことが、何らかの淘汰上の意味を持ったのか?
あるいは、淘汰上の意味を持ったのは、あくまでも
客観的に見た脳の情報処理能力であって、意識は、
そのような情報処理能力を持つ脳という物質系が何
らかの未知の理由によって不可避的に持ってしまう、
一種の副産物なのだろうか?私たちが、客観的に今
とまったく同じ振舞いをする、しかし、一切の心的
表象を持たない、「ゾンビ」であった可能性はある
のだろうか?意識と因果性の間には、解明されるべ
き多くの謎がある。 





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