投稿者 松本 日時 2000 年 12 月 25 日 22:25:22:
∇エヴェレットの多宇宙理論から見た生命の宇宙的
意義です。もちろんまだ仮説の段階ですが。
「世界の究極理論は存在するか;D.ドイッチェ」
(多宇宙理論から見た生命、進化、時間)より
・われわれはあまりにも偏狭だった。そのために、
知識を担っている実体は知識を担っていない実体
と物理的に同一でありうるという偽りの結論に導
かれたのだ。そしてそれが、知識は基本的なもの
だということに疑いをかけることになった。だが、
われわれはいまや、ほとんど完全に円を一周した。
生きている物質が特殊な物理的性質をもっている
という古代のアイデアがほぼ真実であることを、
いまなら理解できる。実は、物理的に特殊なのは
生きている物質ではなく、知識を担っている物質
なのである。それはひとつの宇宙の内部では不規則
に見えるが、宇宙全体を通して見れば、多宇宙に
おける結晶のように規則的な構造をもっている。
だから、知識は結局のところ基本的な物理量で
あり、生命現象も基本的である点ではそれにほと
んど劣らない。
・ガリレオ以来の科学の進歩は、生命が自然界の
基本的現象であるという古代のアイデアを反駁し
たように見えた。科学は、宇宙の尺度が地球の
生命圏にくらべてはるかに巨大であることを明ら
かにした。近代生物学は、生きていない物質に
適用されるのと同じ法則に支配されているように
ふるまう分子的な自己複製子すなわち遺伝子を用
いて、生きている過程を説明することで、この
反駁を確証したように見える。にもかかわらず、
生命は物理学のある基本原理−チューリングの
原理−と結びついている。というのは、仮想現実
はそれによって自然界にはじめて実現されたから
だ。また、生命は見かけとは異なり、時間と空間
におけるもっとも規模の大きい、重要な過程で
ある。生命の未来のふるまいは星と銀河の未来の
ふるまいを決定する。複数の宇宙全体にまたがる
最大規模の規則的な構造が存在するのは、脳や
DNAの遺伝子断片のように、知識を担う物質
が進化してきた場所である。