投稿者 松本 日時 2002 年 11 月 03 日 11:45:35:
∇新しい発見や発明は特許を取るだけでは不十分で
あり、専門の学会での発表や議論が不可欠という
ことのようですね。
また、理論的にはわからない場合でも実験で示す
ことができるならば、実験結果の公開と、他の
研究者による追試による確認が求められるでしょう。
例えば、「超伝導」の場合は、1911年にカメリング
オンネスによって初めて現象が確認されてから、
1957年のバーディーン、クーパー、シュリーファー
によるBCS理論の成功まで40年以上の年月が必要
だったわけですから。
「日経サイエンス,2002.12」
[永久機関は不滅なのか?]
"永久磁石で動き続ける発電機?"
・いや,そうとも言い切れないようだ。
2002年3月に成立した「無動電磁発電機」の特許
(6362718号)を見てみよう。この発明によって
「外部電源がなくても運転し続けられる磁気式
発電機」が実現する。バッテリーを使っていったん
始動させれば,バッテリーを外してもずっと発電
し続けるという。しかも無限にただ同然で,だ。
・この特許では無動発電機を「環境,つまりこの
場合は(装置の主要素である)永久磁石内に発生
した磁束からエネルギーを受け取り,集め,熱に
変換する開放型のシステム」と定義している。
磁束がなくなると装置は停止するため,永久機関
とはみなされないと指摘している(しかし,永久
磁石の磁力では,このは発電機がびっくりするほど
高出力の電気をつくり出す源にはなりえないという
説明を忘れている)。
"疑わしきは「拒絶せず」"
・しかし,無動発電機のような特許が存在するから
といって,本当に装置が動くとは限らない。新規性,
有用性,公知ではないこと,実施可能性の4つが
特許審査のポイントだ。実施可能性を示すため,
出願者は装置の作り方を開示しなければならない。
出願者の主張通りには動かない装置は有用性と実施
可能性を満たしていないと拒絶すべきだが,立証
する責任は審査官にある。特許審査では,疑うに
足るだけの十分な理由が見つからない限り,拒絶
されない。「動く公算がどちらかといえばありそう」
なだけでよい。
・特許商標庁長官は再審査を命令できるし,2800
〜8500ドルの料金を出せば誰でも請求できる。だが,
科学的に疑わしいという理由で,再審査になった例
稀だ。これとは別の理由で特許への異議申し立てが
何千件も法廷に持ち込まれているとはいえ,科学的
な間違いを法廷で暴くことに時間と金を費やして得
をする人はいない。