投稿者 松本 日時 2001 年 8 月 09 日 22:46:03:
回答先: 多宇宙 投稿者 松本 日時 2001 年 6 月 30 日 19:46:05:
∇ダークフォースではなく、ダークエネルギーの話です。
「科学2001年8月」より
《宇宙論の転換期を迎えて》---岡村定矩
・暗黒物質(ダークマター)に加えて、暗黒エネルギー
というもう一つの謎が現代宇宙論に登場した。この謎は
自然法則とわれわれの世界観にどのような影響を及ぼす
であろうか。
・みえている物質よりも遥かに大量のみえない暗黒物質
が宇宙を支配していることは確かだが,その正体はいま
だ皆目わかっていない。さらに昨年には、宇宙背景放射
の揺らぎの観測から,「宇宙は平坦である」,すなわち
宇宙の全密度は臨界密度に等しいことが強く示唆された。
・暗黒物質を含む全物質は臨界密度の3割程度しかない
ことはさまざまな推定からほぼ確かである。それでは
残る7割の密度は何が担っているのだろうか。
・遠方にある超新星の観測は,宇宙膨張が現在加速して
いることを示唆している。この加速膨張は宇宙定数が
原因と考えられた。宇宙定数はアインシュタインが後悔
したことで有名なものだが,真空のエネルギーに相当
すると考えられ,引き合う重力と反対の作用をする。
このエネルギーを密度に換算すると上記の7割と一致
する。
・その結果,時間変化も許し空間的にも変化しうる
一般化された宇宙定数とでも呼べる「暗黒エネルギー」
という概念が導入され,ギリシャ哲学にちなんで
「第五の元素(quintessence)」と呼ばれるように
なった。
・われわれは宇宙の本質をまだ理解していないのかも
しれない。そうだとすれば基本的な自然法則の理解
ばかりでなく,人類の世界観が再び大きく転換する
可能性もある。
《宇宙はどのように膨張しているのか》---佐藤勝彦
・実際,ダークマター,ダークエネルギーの問題は
大きな謎である。われわれの住んでいるこの宇宙を
構成する物質の99%が何であるかをわれわれはまっ
たく知らないのである。
・いっぽうダークエネルギーの存在の「発見」は
それが正しいならば,宇宙論的意義以上に物理学
の根幹にふれる発見であり,歴史に残る大発見で
ある。
《ダークエネルギー》---千葉剛
・最近の観測によると,正体不明の(物質ではない)
エネルギー(これをダークエネルギーと呼ぶ)が宇宙
に満ち満ちているらしい。ダークエネルギーはその
重力相互作用が引力ではなく斥力であり,その効果で
宇宙を加速膨張させているらしいのである。
・これまで触れなかったが,「現在」という時期は
ダークエネルギーにとって非常に特別な時期である。
なぜなら,ダークエネルギーは物質や輻射と異なる
時間変化の仕方をする。傾きの異なる線はどこかで
必ず交わるはずだが,その時期がほぼ現在と一致
しているというのは偶然なのだろうか。