非対称性の起源

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|> ｛非対称性の起源｝ |> 「自然界における左と右，マーティン・ガードナー， |> 1992年，原書1964年．1969年．1979年．1990年」より |> ∇自然界における非対称性について、ちょっと古い |> 内容ですが、記述した書籍がありましたので、一部の |> 抜粋ですが紹介します。 |> ・パスツゥールは、生体組織外では、非対称化合物は |> 必ずラセミ状、つまり右向きと左向きの混ざった状態 |> でのみ存在する、ということに深い印象を受けていた。 |> 生体の中にあってはじめて、有機化合物は純粋に右向 |> きか左向きかのどちらかでいられるのである。 |> 「われわれの目にふれる形で示される生命とは、宇宙 |> が非対称的に機能しているという、その事実の結果で |> ある。・・・原始においては構造的にも外見上の形態 |> の点においても、生物にはすべて、宇宙的な非対称性 |> が機能しているのだ、と想像することさえできる。」 |> ・彼は鋭い直感で、またどんな具合だかよくわかって |> はいないが、宇宙自身の核心に何か基本的な非対称性 |> があるのだ、と確信していた。彼は「宇宙は非対称で |> ある」と明記している。 |> ・カントがはじめて公にした論文は「活力測定考」で、 |> 彼がこの中で早くもｎ次元の幾何学の存在を予知して |> いるのは驚くべきことである。われわれの世界はなぜ |> 三次元なのだろうか、というのが彼の発した問いであ |> った。 |> ・この宇宙観は、カントよりも一世紀前に、やはり |> ドイツの偉大な哲学者であり、数学者であるゴット |> フリード・ウィルヘルム・フォン・ライプニッツが |> 示したもので、カントはこの見方によっている。 |> 宇宙は物と切り離しては何の実体ももっていない。 |> 宇宙とは、物と物との関係の抽象的かつ数学的な記述 |> にほかならない。数学者たちは、第四次元の概念に気 |> づかないわけではなかったが、そのような考えはまっ |> たく価値のない、現実離れした憶測だとしてすぐに |> 取り上げられなくなってしまった。非対称な立体も、 |> より高次の空間で回転すれば左右の転換が理論的には |> 行なえる、という事実には誰も考えが及ばなかった。 |> メビウスの輪で有名なドイツの天文学者、オーギュ |> スト・フェルディナンド・メビウスが1827年になって |> はじめて、このことを指摘した。 |> ・したがって、カントがすでに1747年に「これら可能 |> なかぎりの空間（三次元よりも高次の空間）のすべて |> の種類についての科学は、限りある人知が幾何学の |> 分野で企てることのできるもっとも高度な事業である」 |> と書いているのは驚きに値する。彼は続けて次のよう |> に述べている。「もしかりに他の次元に拡大すること |> が可能であるとすれば、神そのような次元を実在の |> ものにしていることは十分ありうる。なぜならば、神 |> のみわざはその雄大さと多様さにおいて、不可能な |> ことは何ひとつないからである。」けれども、そのよ |> うな高次の空間は「われわれの世界の中にあるのでは |> なく、まったく別の世界を形成しているにちがいない」