脳のコラム構造(補足)


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投稿者 松本 日時 2001 年 10 月 28 日 10:59:22:

回答先: 脳のコラム構造 投稿者 松本 日時 2001 年 10 月 23 日 21:51:37:

∇脳のコラム構造についての補足説明です。

「Computer Today,2000年1月号,No.95,
コンピュータはどこまで心に迫れるか」より

・一見,信号伝達のためだけの単純な素子に思える
ニューロンであるが,その働きは驚くべき複雑性と
柔軟性を備えていることがわかってきた。
まず,シナプスには次のニューロンの活動を促すもの
(興奮性)だけではなく,逆に活動させにくくするもの
(抑制性)もあり,この興奮性シナプスと抑制性シナ
プスの組み合わせにより,バランスのとれた複雑な信号
伝達が可能となっている。
興奮性か抑制性かは,主にシナプスで放出される神経
伝達物質の種類によるが,その物質はニューロンごとに
決まっていると考えられたこともあった(デイルの原理)。
しかし最近その原理はほぼ否定され,同一のニューロン
が異なる伝達物質を放出することが確実となっており,
次のニューロンへの作用時間が異なる複数の物質が,
同じ軸索終末部内の同じ小胞から出されることも明らか
になっている。
単一のシナプスを介した信号伝達でさえ、きわめて複雑
に制御可能であることがわかったのである。
また,細胞体で発生したスパイクは軸索上を終末に向か
い伝搬していくと先に述べたが,これが樹状突起方向
へも伝搬するという,驚くべき逆方向伝搬の事実もごく
最近わかった。こうなると,単一のニューロンは,決し
て一方向一作用の信号伝達素子などではなく,一種の
信号制御装置つまりプロセッサーであると言える。

・しかも,シナプスを介した伝達物質つまり信号を受け
取る細胞体の膜電位は,短時間に多くの信号を受け取る
と,その後長時間にわたり変化を持続させ,信号への
感受性を変えたままでいることがだいぶ前にわかってい
る(シナプス長期増強)。
さらに,入力信号によりスパイクを発生させ信号伝達に
寄与したシナプスはより信号を伝えやすくなり,信号
伝達に寄与しないシナプスは弱体化したり消えるという
メカニズムもある(シナプス競合)。
これらは全て一種のメモリー機能である。
つまりニューロンは,一つ一つがメモリー機能を備えた
プロセッサーであると言える。

・このようにすごい性質を備えたニューロンであるが,
当然短所もある。
まずその弱さであり,遅かれ早かれニューロンは死ぬ。
あらかじめ遺伝的に組み込まれた大量死(アポトーシス)
から,回路網形成に伴う競合の結果としての死,あるいは
老化による死など,その理由は様々であるが,とにかく
1日あたり数千から数万のオーダーで死滅するという弱さ
を持つ。
もう一つの短所は,伝達速度の遅さである。
スパイクの伝達速度は,鞘という特殊な構造を持たない
軸索上では毎秒数メートル,鞘を持つ軸索上でもせいぜい
毎秒百メートル程度である。
これは電気信号の速度と比べると数百万分の一のオーダー
であり,途方もなく遅い。
このように,ものすごい能力を持つ秀才であるが足が遅く
身体が弱い,といのがニューロンの姿と言える。

・ニューロンの近くに細い電極を刺しそのスパイクを電気
信号として測定すると,その動物がものを見たり行動した
りしている時,特定の刺激や運動などの事象に対し,選択
的に強く活動するニューロンが見つかる。
どのような事象に対し最も強く活動するかは,ニューロン
毎に異なっており,その意味でニューロンは様々な個性を
持つと言える。
メモリー付きプロセッサーとしての性能をもつニューロン
が,このように個性的な活動を示すとなれば,その活動
こそ特定の事象を情報としてコードするための単位である
と考えても不思議はない。
そのため,あらゆる事象はそれに選択的な活動を示す特定
のニューロンによりコードされるという「単一ニューロン
主義」が提唱されたこともあった。
外界刺激の認識に関しては,認識細胞仮説やおばあさん
細胞仮説などとも言われる。
ただし,単一ニューロン主義が意味する単一とは,ある
事象をコードするニューロンが脳内に一つだけある,
という意味ではない。
同じ個性を持つニューロンは多数存在するが,情報を
コードする単位はあくまでも個々のニューロンである,
という意味である。

・しかし,単一ニューロン主義にはいくつもの問題がある。
まず先に述べたように,ニューロンは高性能であるが弱い。
個々のニューロンに特定の情報をコードさせることは,
何とも危うく,同じ情報をコードするニューロンをきわ
めて多数用意しなければならなくなる。
またこれも述べたように,個々のニューロンの信号伝達
速度は遅い。
にもかかわらず,反応時間測定などの心理実験から明らか
なように,脳は刺激入力→認識→判断→運動出力という
プロセスを,時として100ミリ秒以下で実行し得る。
個々のニューロンに情報を収束させるコーディングでは,
脳全体にまたがるこの速い情報伝達を説明できない。
さらに,ニューロン活動はきわめて不安定であり,一般
の記録実験では,加算ヒストグラムという形,つまり
同じ手続きを数回から数十回繰り返した際の活動の加算
平均によりデータを表すことが普通である。
このような加算平均を必要とする個々のニューロンの
活動が,単独で情報をコードできるとはとても考えら
れない。

・さらに単一ニューロン主義については,実験的観点
から,次のような問題もよく指摘される。
一つのニューロンのスパイクは,次のニューロンの
細胞体に極めて小さい電位変化しか起こし得ず,単独
ではほとんど無力である。
つまり,単一ニューロンの活動がそれだけで情報を
コードしていたとしても,それは次には十分伝わらず
無意味となる。
実験場面で恣意的に選んだ多くの刺激にさえ,一つの
ニューロンがそれらのうちの複数に対し活動すること
も多い。
これは,ニューロンの個性である選択的活動というもの
が,唯一の情報のみをコードできるほどシャープでない
ことを意味する。
ある特定の機能に関わる脳部位が壊れた時,他の部位
がその機能を代行することがある。
これは,残された部位のニューロンの働きが,壊された
部位のニューロンの働きを補うよう,容易に変化する
ことを意味するが,あらかじめ各ニューロンが特定の
情報をコードするという役割を担っているとしたら,
とうてい不可能である。
また理論的にも,以下の問題点を容易に思いつく。
ほとんどの事象は,さらに細かい無数の事象に分解でき
るし,また事象の組み合わせにより,新たな事象もいく
らでも生み出し得るが(おばあさん→洋服を着たおばあ
さん→洋服を着て電車に乗っているおばあさん→・・・),
有限なニューロンで,この膨大な数の事象に対応できる
のか(組み合わせ爆発の問題),情報間の連合,分離,
類似度,構造等を,個々のニューロンの活動でコードで
きるのか。

・これらのことから、単一ではなく、複数のニューロン
からなる集団が互いに協調的に働くことにより情報を
コードするという,集団的・協調的コーディングを考え
ざるを得ない。
ただし,ここでの集団という言葉は,個々のニューロン
が無個性で均質であり,集団となって始めて意味を持つ,
ということではない。
ニューロンが個性的であることはすでに十分わかっている。
それら個性の集まりと協調が,特定の情報をコードする
ということである。

・たしかに,集団的・協調的なニューロン集団が情報を
コードしていることを示す実験事実が、最近次々と報告
されている。
例えば,サルの側頭葉TE野において柱(コラム)状に
集まったニューロン集団が図形や顔をコードすること,
あるいは,サルの運動野の多数ニューロンの協調的活動
が運動の方向と強さをコードしていることなどである。
これらのことから,ニューロンが何らかの集団を作り
情報をコードしていることは間違いない。
それでは,そのような集団はどのようにして形成され,
どのようにして協調して働くのであろうか?
またニューロン集団の実態は,実験的にはどのように
検出可能なのであろうか?



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