投稿者 デヴィリン 日時 2001 年 2 月 26 日 22:28:33:
みなさんこんにちは、デヴィリンです。
ここで第5話でとりあげた酸化的ストレス
についてもう一度お話します。
ガンができるプロセスは非常に複雑なんだ
けれど、最も広く知られているのは
正常細胞がガン細胞に変わるプロセスを
イニシエ−ションとプロモ−ションの二つの
段階に分けて考える二段階説と呼ばれるものが
あるんだ。
1940年代にベレンブラムという学者が、
マウスの皮膚に発ガン物質を塗ってガンを作る
実験の中で提唱したモデルで人間のガン発生
まで広く適用されているんだね。
イニシエ−ションは例えば、発ガン物質がDNA
と結合すると、突然変異を起こして、正常な
遺伝情報を狂わせる段階をいうんだ。
DNAの中の一個の塩基の位置で情報を
狂わしたり、DNAの一部が欠損するなど
いくつかの変異があるんだけれど、それら
の変異の組み合わせが起こるとガン化への
第一段階が始まると考えられるんだよ。
これに対して、活性酸素が細胞膜、蛋白質、
核酸などの重要な生体成分を攻撃して、傷害
を与えることによって細胞全体を酸化的ストレス
状態に導き、長い年月を掛けてガン化にいたる。
このような作用をプロモ−ションというんだ。
ちょっとわかりにくいけれど、イニシエ−ションは
直接的でプロモ−ションは間接的といえるかな。
最近、学校でいじめられて自殺に追い込まれた
という話がよくあるけれども、実際いじめが
自殺と関係があるかどうかよく裁判の争点に
なるよね。つまり活性酸素の攻撃によって
発生する酸化的ストレス状態が発ガンと密接な
関係にあるかどうかはまだ科学的に十分、解明
されていないんだ。
しかし活性酸素が細胞膜やDNAに影響を与えて
いることは間違いないんだ。
また次回。