投稿者 松本 日時 2003 年 6 月 19 日 23:33:10:
回答先: Re: 月面上の重力について 投稿者 星は何でも知っている 日時 2003 年 6 月 19 日 05:30:06:
|> 地球の内部は溶岩でみたされていますが、一方月では
|> すでに溶岩が冷え固まっていると考えられます。
∇天体の基礎データが得られた経緯について調べる
にはその分野の専門家が書いた本などを追いかける
方法が早道です。
とりあえず、月の地質の説明がある本から一部抜粋
して紹介しておきます。
(これだけでは、まだとても不十分ですが)
月の質量などについても地質に関するデータや、
潮汐力、軌道に関するデータが矛盾ないかどうか
確認するとデータが得られた経緯がよくわかると
思います。
「月の科学,Paul D.Spudis,2000年,原書1996年」
・月の磁場の測定から,月の地殻は部分的に帯磁
しているが,月全体としては地球のような磁場を
持っていないもとが明らかになった。
月の平均密度が比較的小さいこと(約3.3g/cm^3で
あり,地球のそれは5.5g/cm^3である)と,この
磁場がないことから,月には地球の中心核のような
大きな,重い液体の鉄でできた核がないと思われる。
「比較惑星学,岩波講座,地球惑星科学,1997年」
・月の平均密度が3.34g/cm^3で、この値はコンドライト,
地球のマントルに近く,すなわちほとんどケイ酸塩鉱物
からなっているということになる。
・月の内部構造,化学組成,成因などを考えるうえ
での制約は,
(1)惑星の衛星としてはその質量がきわめて大きい
こと:月の質量は地球の81分の1もあり,他の惑星
−衛星系と異なる
(2)地球−月の角運動量が大きいこと,その値は太陽
に対する他の惑星のそれと比べきわめて大きい
(3)揮発性成分に乏しいこと:液相濃集元素のため
火成作用では変化しない揮発性のKと難揮発性のUの
比が地球のマントルのその値の5分1しかない
(4)マントル中の酸化鉄は地球のマントルより多いが,コアは
ごく小さく(全質量の6%以下),総鉄量は少ない
(5)親鉄元素に乏しく,そのパターンは地球のマントルの
それとよく似ている
(6)(4)の結果として,平均密度が小さい
(7)酸素同位体組成は地球とまったく同じである
(8)現在の地球の半分程度の大きな残留磁場をもつ
ことなどがあげられる。