投稿者 ? 日時 2007 年 4 月 21 日 21:36:29:
「褐虫藻」大きさは10ミクロン(1/100ミリ)、非常に小さな単細胞の生物です。分類上は渦鞭毛藻と呼ばれる植物プランクトンで、近い仲間には、あの夜の海で妖しく光る夜光虫がいます。
この褐虫藻が、触手や共肉部などサンゴの体に、表面積1平方センチあたり100〜300万個も共生しています。(サンゴの体の中に住んでいるということです)
では褐虫藻はサンゴの体の中で、どのような役割をはたしているのでしょう?
褐虫藻は、サンゴが呼吸により出した二酸化炭素や、ちっ素、リンなどの老廃物を効率的に利用して光合成をおこない、それによって生産された脂質や炭水化物がサンゴの栄養分となるのです。つまり、サンゴは褐虫藻に家を貸してやり、褐虫藻は掃除をして、ご飯を作っているようなものでしょう。
褐虫藻の生産物で、サンゴが必要とする栄養分の50〜90パーセントがカバーされます。サンゴの多くは夜になると、触手を伸ばし動物プランクトンをつまみ食いします。これでタンパク質など、足りない栄養分を補っているのです。
また、褐虫藻の光合成により、サンゴの体内がアルカリ性になり、骨格の生成を促進します。褐虫藻はサンゴに栄養分を与えるだけでなく、サンゴ礁の形成にも役だっているのです。
このように、サンゴやサンゴ礁の発達には欠かせない褐虫藻なのですが、サンゴの住み心地が悪くなると、サンゴの体から抜け出してしまいます。
「住み心地が悪い」具体的な例は、極端な高水温・低水温、強光、低塩分(真水が流入)などがあげられます。
サンゴの体の組織は透明なものが多く、黄褐色の褐虫藻が抜け出してしまうと、サンゴは内部の骨格が透けて、左の写真のような純白に見えます。このサンゴは美しく見えますが、実は瀕死の状態で、このまま褐虫藻が戻らないと、栄養を得られずに死んだ組織がはがれ、むき出しになった骨格に、褐虫藻とは別の藻類が付着し、外見も薄汚れます。そのような死んだサンゴはもろくなり、強い波などで容易に折れるようになります。そこを住みかにしていた美しいサンゴ礁魚類も姿を見せなくなります。
これが、近年特に問題とされているサンゴの「白化現象」のプロセスなのです。褐虫藻が住み易い環境を守らなければ、私たちの美しいサンゴ礁は、死んだ海になってしまうでしょう。
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