投稿者 松本 日時 2000 年 9 月 07 日 22:35:01:
回答先: 量子コンピュータ 投稿者 shimizu 日時 2000 年 7 月 14 日 23:13:17:
|> 量子について具体的な事柄が新聞に載っていましたので
|> 紹介します。
参考になるかどうかわかりませんが、量子コンピューティ
ングの本がありましたのでお知らせします。
・量子コンピューティング;C.P.ウィリアムズ/S.H.クリ
アウォータ(発行:シュプリンガー・フェアラーク)
1989年のIBM T.J.ワトソン研究所の最初の量子
暗号機械の写真も記載されています。
付録のCDにファインマンの量子コンピュータやシェア
の因数分解アルゴリズムなどのシミュレーションプログラム
が収められ、また量子干渉効果などのアニメーションも見れ
ます。(計算原理等についてはこれらの書籍から追っかける
ことができますので参考までに紹介します。)
おまけですが、事の起こりを以下に整理してみました。
1930年代にフォン・ノイマンが「量子力学の数学的
基礎」で「観測問題」について述べています。
量子力学的系の状態の移り変わり方には二つの基本的な法
則がある。これについてコロンビア大学のデビット・アルバ
ート教授が「量子力学の基本原理」(日本評論社)のなかで
もう少しわかりやすく説明しています。この一部の引用では
1.純粋な物理系(つまり知覚力のある観測者を含まない系)
2.意識系(つまり知覚力のある観測者を含む系)
があるというわけで、シュレディンガーの波動方程式の崩壊
に、意識が関わっているのでないか?
1935年;EPR論文
アインシュタイン・ローゼン・ポトルスキーが共同で量子
力学の最小道具主義的解釈が不完全である。としてボーアと
議論をはじめました。(レッドヘッドの「不完全性・非局所
性・実在主義」に詳しく説明されています。)
これも観測問題についての思考実験から、量子力学が正し
いのかそれとも局所性(因果の法則)が正しいのかという
ようなたぐいの議論です。ようするに幽霊みたいな遠隔作用
つまり光速を超えミンコフスキーの四次元時空の光円錐を超
えた現象(過去と未来と現在の秩序の成り立たない量子力学
的な系)をほんとうに認めていいのかということ。
1965年;ベルの不等式
ジョン・ベルがEPRの判定式を考えつき、実験により、
極端な言い方をするとボーアとアインシュタインのいずれか
が正しいことがわかるというものです。
1982;アスペの実験
アスペ・ダリバール・ロジェによる光スイッチとCaカス
ケード遷移を利用した「遅延選択法」によるベル不等式の
実験でニールス・ボーアの量子力学が正しいことになりま
した。アインシュタインの局所性はとりあえず破られました。
(詳しくは複雑な結果で、このテレパシー効果を人は利用で
きないため、厳密な意味の因果の法則は守られました。つま
りあくまで、人は光円錐の中での行動に制限されてしまった)
1900年代初めの特殊相対性理論(ミンコフスキーの
光円錐)と、ハイゼンベルグの不確定性原理とプランクの
プランク定数などから発展した量子力学という二つの科学
体系の相容れない矛盾ということになり、根本的な解明は
まだ先のようです。
デビット・ボームの「意識と内蔵秩序」などもおもしろい
仮説ですが、SFなどではエベレットの「多世界解釈」が
よく利用されているようです。
ハイゼンベルクとニールス・ボーアとの議論で不確定性原理
の奥の深さが明確となり、原子は「もの」ではないということ
でしょう。過去10数年はジョンC・エックルスの意識モデル
、デンドロン説やペンローズのマイクロチューブリン説など
少しずつ意識を量子力学で解明しようという動きも見られます。
簡単な背景はこんなところでしょうか?