量子コンピュータ


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投稿者 shimizu 日時 2000 年 7 月 14 日 23:13:17:

量子について具体的な事柄が新聞に載っていましたので
紹介します。

 
 量子の力で超高速通信
「離れたところにあるテレビや電話、コンピュータなどに
画像や音声、データを伝えるのが情報通信だ。
 現在の方式は、電波や光など媒体の強さ(振幅)や周波
数、波の山や谷の位置(位相)などを変化させて情報を盛
込んでいる。水面の波をイメージすればわかりやすい。
 しかし、デジタルデータで使うのは「1」と「0」の信
号だけ。大量の水を使って波で伝えるよりも、水の粒子
(分子)一個一個を使っても出来そうだ。これを光や原子
に当てはめたのが「量子通信技術」で、この場合の粒子に
あたるものが「量子」と呼ばれるものだ。

 量子は、通常の粒子と違い、@観測による影響A量子の
もつれ合いB状態の重ね合わせ―――という3つの特徴を
持っている。
「観測による影響」とは量子が現在どのような状態か、観
察する作業によって、量子の状態を変えてしまうことだ。
「現在の通信では、大量の情報を送っているので、第三者
がのぞき見をしてもわからないが、量子通信はのぞき見し
たとたんに情報内容が変化し、のぞき見が発覚してしまう。
これを暗号鍵の送信に使えば、安全な通信が実現できる」
と、報告をまとめた「量子力学的効果の情報通信技術への
適用とその将来展望に関する研究会」の座長の榊裕之・東
京大教授は説明する。
 のぞき見がわかった鍵は破棄し、再度新たな暗号を使っ
てそれを使うのだ。
 
 また、2つの量子がある時、一方の状態が決まるともう
一方の状態も自動的に決定されるというものが「量子のも
つれ合い」現象だ。あたかも2つの量子がテレパシーで連
絡を取り合っているかのようだが、もつれ合いの関係にあ
る量子を離れた場所に置き、一方を操作すれば、瞬時にそ
の情報が他方にも伝わる仕組み。電源などの通信線を引く
ことなく、どんな大容量でも瞬時に伝達できるのが特徴だ。

 そして量子を利用した高速計算の基本原理になるのが、
「状態の重ね合わせ」理論だ。量子は、1か0かという
“玉が1個、一けたのそろばん”ではなく、複数のけた
(状態)を持つそろばんにもなる。けた数がn個あれば、
1個の量子で2のn乗個の状態を表すことが出来るわけだ。
現在の方法は、それを一けたずつ順に計算するが、量子コ
ンピュータは、それを一回で計算してしまう。「今のスー
パーコンピュータで100年かかる計算を、秒単位でこな
すことも可能になる」と、NEC基礎研究所の中村和夫研
究部長は話す。

 まるでSF小説さながらの世界に見えるが、本当に実現
するのだろうか。量子暗号鍵については、英やスイス、
米国で基礎的な実験がすでに行われ、成功しているという。
だが、量子通信、量子コンピュータについてはまだ理論的
に可能だとわかっているに過ぎない。量子という、光や原
子などの非常に微弱な状態を間違いなく伝えたり、検出し
て計算に取り組むための道具作りが非常に難しいためで、
報告では早くとも20〜30年はかかると見ている。

 それでも、国家が手厚く支援する欧米に比べ、日本では
企業や研究所が細々と取り組んでいる状況。研究者の間で
も「このままでは大きな遅れを取ってしまう」との危ぐ感
は強く、国の強力なリーダーシップが求められている。」

 2000年7月13日 読売新聞(夕刊)より
 
 




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