投稿者 松本 日時 2000 年 11 月 18 日 17:43:48:
回答先: 学びの教室にて 投稿者 ☆ 日時 2000 年 11 月 16 日 06:37:50:
|> またよい、情報が有りましたら聞かせて下さい。
|> :(^-^)☆彡
∇意識と脳に関して、不思議な話がありますので
紹介します。これらの話は、”人間の肉体は服で
あり、ほんとうの自分はその服を着ている意識あ
る実体である”ということと関係があるかも知れ
ません。もちろん、推測の域を出ていませんので、
じっくりと吟味してみないとわかりませんが。
「皇帝の新しい心;ロジャー・ペンローズ」より
・カリフォルニア大学のベンジャミン・リベットが
サンフランシスコのマウント・ツァイアン神経学
研究所のベルトラム・ファインスタインと共同で
行った2番目の実験(Libet et al.1979)では、この
実験と関わりのない理由で脳手術を受けなければ
ならなくなった者で、体性感覚皮質の1点に電極を
設置することを了承した者を被験者に用いた。
脳自体はわずか100分の1秒で刺激からの信号を
受け取り、このような信号に対する予定された
「反射」応答を脳はほぼ10分の1秒で実現すると
いう事実があるにもかかわらず、リベットの実験
によると、これらの患者の皮膚に刺激を与えたとき、
彼らが刺激に意識的に気付くまでにほぼ半秒かかる
のである。その上、刺激が意識に上るのに半秒の
遅れがあるにもかかわらず、患者自身の主観的印象
では、刺激に気付くのに何の遅れも起きていない
のである。・・・・・・・・・・・・・・・・・
「自己はどのようにして脳をコントロール
するか;John C.Eccles」より
・Libet(1990)は、訓練を積んだ被験者が動こうと
意図している時間について研究した。意識的な意思
は、運動の開始に、すなわち筋電図の開始に約200
ミリ秒先行する。対照的に、皮質の陰性電位、すな
わち準備電位は、意図された動きに1,000ミリ秒ほど
先行することが加算平均法を用いたKornhuber,Deecke
とLibetの研究により認められている。しかしながら、
この準備電位は、何らかの無意識的脳活動の反応が
意志に先行して起こっていることを必ずしも示すもの
ではない。すなわち、脳が意図的決定をするのであっ
て心が決定するのではない、ということを示すもの
ではない!・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「脳の時計、ゲノムの時計;ロバート・ポラック」
より
・つい最近まで、意識の生物学などというものは
矛盾したものであり、哲学者は理性的な思考の本質
について自由に考えることが許されていた。だが
事情は変わった。新世代の科学者たちが、直接的な
実験によって自分の脳の延長上にある人間の脳を
調べはじめたのである。精神について学ぶ者(精神
科医や心理学者など)と脳を知ろうとする者(神経
学者や神経生物学者など)は、いまでもそれぞれの
分野は平行線を走っていると思っているが、境界線
上にいる科学者たちが、心の状態はすべて脳の状態
であるという心のモデルを作り上げた。また彼らは、
脳の働きすべてが過去との連続性のうえにあるとい
う証拠も見つけた。理性的な思考(ひいてはすべて
の科学研究計画や科学者の思考)は神経ネットワー
クの再配線、つまり脳内時計によって引き起こされ
る遺伝子発現や配線の変化なのである。
意識に必要なその時計は、感覚を管理していた
時計と似ている。脳内の神経細胞セットのなかの
連結を作ったり壊したりしながら、変わりつづける
意識回路を作り、維持しているのだ。それは私たち
の考案した時計とは違う。これから話すように、
たとえば一秒という時間を保留する時計なのだ。
この時計は私たちの種の起源に根ざしているので、
感覚情報がデータをまず外界から引き出す場合と同
じように、感覚情報を意識へと統合する。どちらの
作業も、理性的思考の産物ではない。意識的思考と
は、感覚と同じで過去につながっているいるものな
のだ。
∇ここで、また数十年前のベンジャミン・リベット
の実験が引用される。長いので省きます。
・いま、この瞬間という感覚、目覚めているという
感覚、そして自覚しているという感覚を持つには、
脳がより深い方法で現在と一秒前の過去をつながな
ければならない。失われた半秒の間に、脳はすべて
の感覚器官から皮質に送られた情報と、その過去の
バージョン、つまり以前経験した感情を含む経験の
記憶の蓄積を混ぜ合わせる。その時はじめて、外界
と心のなかをスムーズに動きながら認識した意識が
現れる。脳は、さまざまな特性を持つ意識を維持し
ていく神経細胞のネットワークをたくさん持ってい
る。それらのネットワークは、化学物質や電気で
たがいにリンクし合っている。意識が存在するため
には、これらのネットワークがリンクしつづけなけ
ればならないのだ。
・脳の各中枢から生じる意識を元に、シンフォニー
を生み出す責任を負った指揮者は、額からうなじま
でを毎秒40回定期的に行ったり来たりする同調し
た電気活動の波だ。脳の全部位がこの毎秒40回の
波でなでられているにもかかわらず、私たちはその
音を聞くことも動きを見ることもできない。最短の
瞬間をとらえる意識でさえ、いろいろなサイクルの
ネットワーク活動を統合しなければならないからだ。
この波は、感覚情報処理をつかさどる中枢をお互い
にリンクさせ、さらにそれを、特に言葉や感情が生
まれたり、長期間の記憶を蓄積したり、しゃべった
り動いたりという意志が生まれる、扁桃体、海馬、
前頭皮質など、心の意識的、無意識的活動をつかさ
どるほかの部位ともリンクさせている。