投稿者 コスモス 日時 2002 年 8 月 01 日 08:43:37:
回答先: ちょっと宇宙論 投稿者 松本 日時 2002 年 7 月 28 日 15:09:13:
松本さん
宇宙膨張について、ていねいな解説をありがとうございました。
銀河系宇宙がいくつか集まっている塊の間の距離が広がっている。
その中の銀河系宇宙同士は、それぞれ移動していて、衝突する
こともある。
とういうことですね。
ちなみに、日経サイエンスの最新号に、銀河の誕生についての
論文が載っていました。
シミュレーションの絵の説明が多く、分かりやすいので、本屋さん
で立ち読みでも、読めると思います。
(本屋さん、ごめんなさい)
|> |> 宇宙空間がどこでも一定の速度で膨張していると考えると
|> |> 宇宙にある星々は少しずつ離れてゆきます。
|> ∇次の説明も参考にして下さい。
|> 「なっとくする宇宙論,二間瀬敏史,1998年」
|> ・ここで一言、老婆心ながら注意しておこう。
|> 宇宙膨張というと、星と星の距離がだんだん大きくなっていく
|> とか、銀河の直径が大きくなっていくいくと思っている人が
|> かなりいる。
|> 実際、私も他学部の先生からそういう質問をされて驚いたこと
|> がある。
|> 銀河のなかの星と星との距離は宇宙膨張によって広がったりは
|> しないし、銀河が大きくなったりすることもない。
|> 銀河が星の集団としてまとまっていっられるのは、そのなかの
|> 星全体がつくる重力によって、星が飛び散るのを防いでいる
|> からである。
|> ・このような銀河の自己重力は宇宙膨張の効果よりもはるかに
|> 大きく、銀河は自分自身の重力によって、宇宙膨張とは切り離
|> された一つの系をつくっている。
|> 膨張によって伸びていくのは、互いの重力が無視できるほど
|> 十分に離れた銀河と銀河の間の空間である。
|> ・したがって、もし銀河同士の間隔が小さければ、宇宙膨張
|> の効果よりも互いの重力の効果の方が大きくなって、近づく
|> 場合がある。
|> たとえば、我々の銀河とアンドロメダ銀河は約230万光年離れ
|> ているが、毎秒120km程度で近づいている。
|> ・このように小さなスケールでは、空間は必ずしも膨張して
|> いない。
|> 宇宙膨張というのは、銀河や銀河の集まりのスケールよりも
|> はるかに大きなスケールでの空間の膨張のことなのである。
|>
|> |> ところで「ウラシマ効果」という現象をご存知でしょうか?
|> |> 静止している観測者から見て、高速で移動する物体では
|> |> 経過する時間が遅くなるという現象です。
|> |> とすると、地球から見て遠い星ほど高速で移動している
|> |> ならば、その星の時間の経過も遅く見えるのでしょうか?
|> ∇例えば、下記の例にある、光速の94%で遠ざかっている
|> 天体の時間をt(94)、地球の時間をt(earth)とすると、
|> t(94)=t(earth)√1-v^2/c^2=t(earth)×0.34
|> なので、その星の時間の経過は地球の約1/3に見えることに
|> なります。
|> 相対論による時間の遅れは、いろいろな実験によって確認され
|> ていて、今のところ、これに反する信頼のおける理論や実験は
|> 無いようですね。
|> (実験の例;飛行機に積んだ原子時計の時間遅れの計測実験、
|> ミューオンの寿命の延びの測定実験など)
|> 「なっとくする宇宙論,二間瀬敏史,1998年」
|> ・赤方偏移の大きさzは、本来の波長λeと観測される波長λo
|> の比として次のように定義される。
|> z=(λo-λe)/λe
|> 他方、ドップラー効果の公式から、速度vで遠ざかる天体から
|> 放出される光を静止している観測者が受け取ると、その波長は
|> 光速をcとして、
|> λo=λe(c+v)/c=λe(1+v/c)
|> となる。これらの式から、
|> z=v/c
|> であり、赤方偏移の大きさzが、後退速度vを表していること
|> が簡単にわかる。
|> したがって、たとえばz=0.01ということは、その天体の後退
|> 速度が光速の100分の1であることを意味している。
|> ・現在、赤方偏移が1を越えるような天体がいくつも発見され
|> ている。
|> z=v/cの式をそのまま当てはめると、これらの天体は光速以上
|> で我々から遠ざかっていることになるが、もちろんそんなこと
|> はありえない。
|> 赤方偏移が大きくなってくると、その光が宇宙の過去に放出
|> された効果を考慮しなければならなくなり、単純にはいかなく
|> なる。
|> ・しかし後退速度の定義として、特殊相対論でのドップラー
|> 効果の公式を用いると、赤方偏移と後退速度の関係は、
|> z=√(1+v/c)/(1-v/c)-1
|> と書けて、これを逆に解くと、次式を得る。
|> v/c=((z+1)^2-1)/(z+1)^2+1)
|> 現在のところ、最も大きな−つまり相対論を考慮しなければ
|> いけない−赤方偏移として、z=4.9をもつクェーサーが発見
|> されているが、上の式を当てはめると、この天体は光速の
|> 94%の速度で我々から遠ざかっていることがわかる。
|> ただしすぐ後で述べるように、この天体からの光は宇宙の
|> 大きさが現在の6分の1の頃に放出されたものであって、
|> 現在、この天体が94%の速度で遠ざかっているわけではない。