原子力政策


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投稿者 松本 日時 2002 年 10 月 13 日 15:09:59:

回答先: Re: プルトニウム 投稿者 コスモス 日時 2002 年 10 月 10 日 14:31:25:

|> コスモスです。

|> 松本さん、熱心に調べていますね。
|> 私も見習わなければならないと感じております。
|> 昔のことですが、私がわずかばかり知っていた
|> ことを書いてみます。

∇参考になります。ありがとうございます。
私は原子力関係の専門家ではありませんので、
参考にした本やH/Pなどからの知識で判断する
しかありません。
下記の内容については、コスモスさんは大部分
ご存知のことと思いますが、一度、整理する意味
もあり、一部ですが、調べた内容を書いてみます。
尚、内容に見当違いなどがあるかもしれません
ので、その時は指摘してもらえればと思います。

|> およそ20年くらい前の日本の原子力政策の構想では、

|> 1.軽水炉(現行の原子力発電所の原子炉,濃縮ウラン燃料)
|> を将来的には,

|> 2.高速増殖炉(プルトニウム燃料の原子炉)

|> 3.新型転換炉(低濃縮ウラン+プルトニウムの混合燃料)
|> に代えていこうというものでした。

|> しかしながら,この計画は政治的に進められた
|> 色合いが強かったらしく高速増殖炉や新型転換炉
|> の開発に熱心なのは,科学技術庁や動燃
|> (動力炉・核燃料開発事業団)だけだったようです。

∇ウランの地下資源がおよそ60年分ぐらいしか
無く、高速増殖炉(FBR;Fast Breeder Reactor,
高速中性子を使用した原子炉)を使ってウラン資源を
プルトニウム資源に変換して数十倍〜百倍に増やして、
約千年ぐらいは原子炉を使用できるようにしよう
という計画だったため、国やその外郭団体は開発
に熱心だったのでしょうね。
エネルギー資源をほとんど海外に依存している日本
としては、プルトニウムという資源が大量に手に入ると
いう夢のような話を優先し、国民の生命の危険性に
対する配慮が不足したのかもしれませんね。
また、これがうまくいかないと、原子炉はエネルギー
資源として一時しのぎの高価な設備となり、危険を
冒してまで開発した理由とあとに残る使用済みの
濃縮ウラン燃料の処理の責任ということになって
しまいますからね。

|> 電力会社は使用済みの濃縮ウラン燃料を処分する
|> 必要があるので,核燃料の再処理(プルトウムの生産)
|> については積極的でしたが,わざわざ別の形式の
|> 原子炉を発電に使うのはリスクが大きすぎると考えて
|> いたようです。(表向きにはそうは言いませんでしたが)
|> その代わり電力会社は、濃縮ウランにプルトニウム
|> を混ぜる、混合燃料を軽水炉に使うことを早くから
|> 検討していて、1980年ごろには試験燃料が作られて
|> いました。通産省の認可等に時間がかかり、実際に
|> 原子炉に使うまでにはそうとう待たされたようです。

∇使用済みの濃縮ウラン燃料の処分は今後かなり
大きな問題として取り上げられるようにになり
そうですね。これからの将来において、ほんとうに
安全に保管することが可能なのか疑問が残ります。
今後ますます増大する、莫大な保管費用も国民の
肩に重くのしかかるようになるわけですね。
これ以上、使用済みの濃縮ウラン燃料を増やさない
ためにも、原子力発電の見直しの議論は必要だと
思われます。事故を考えると、40年も稼働できる
原子炉は少ないと思われますし、そうなると、費用
も他の火力や水力と比べ割高になること、また、
現在でも日本では原子炉が停止しても火力でまか
なえること、使用済みの濃縮ウラン燃料の処分の
費用が膨大になることなど総合的な判断が必要で
しょうね。
最も優先すべき国民の生命を脅かすことをもっと
真剣に原子力関係者は受け止めるべきだったので
すが。今からでも遅くはないと思われます。

「原子力発電で本当に私たちが知りたい120
の基礎知識、広瀬隆,藤田祐幸,2000年」によると

42.高レベル廃棄物(ガラス固化体)の放射能量とは
・ウラン燃料1トン中の放射能は、100ギガベクレル
である(ギガは10億。ベクレルは放射能単位。従来の
放射能単位1キュリーは370億ベクレルに相当する。)
これに対し、核分裂後に取り出された使用済み核燃料
1トン中の放射能は、100億ギガベクレルである。
つまりウランを原子炉で燃やせば、核分裂によって
放射能が一挙に1億倍に増大する。

「21世紀_核時代_負の遺産」
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/nuclear_age/us/020331.html

「NUMO-NOTE」
http://www.numo.or.jp/what/image/numo_note.pdf

「次世代の廃炉と除染−米原子力学会2001年冬期会議報告」
http://www.3r-net.com/atomic/rad/pdf/sample_B.pdf

「高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けて」
http://www.jema-net.or.jp/Japanese/denki/de-0104/de-05.pdf

「放射性廃棄物シンポジウム」第5回(青森)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/shisaku/99_05/giji05.htm

「環境と原子力の話」
http://village.infoweb.ne.jp/~ksueda/index.htm
「高レベル廃棄物の問題点」
http://village.infoweb.ne.jp/~ksueda/highlevel.htm

|> この話を聞いたのは、入社1年目でしたが、軽水炉
|> で混合燃料を使用する計画がかなり進んでいる
|> ことに、当時、私自身でもかなり驚きました。
|>  原子力学会なども、高速増殖炉の研究開発が
|> 進むこと自体には賛成なので、あえて国の見込み
|> の甘さを指摘する考えはなかったようです。

|>  というよりは、学会はあくまで研究が本業であり、
|> 将来の計画や実用化の可能性の判断などはやはり
|> 企業側で検討する問題だと思います。

∇原子炉の計画や実用化の見込み、特に予想される
事故に対する検討は、原子炉のメーカーが検討する
ことは不可欠だと思われますが、学会のサポートも
必要でしょうね。
また、国がその内容をどこまで理解し、国民へも
ありのまま公開できるかが問題として指摘される
と思います。

|>  軽水炉用のウラン+プルトニウムの混合燃料は,
|> ドイツやフランスでも80年代ころから使われて
|> いたそうですので、当時の日本の電力会社の
|> 判断は妥当だったと思われます。

|>  反面、動燃はその後、不祥事の限りを尽くした
|> あげく、解散してしまいました。(将来の見込みの
|> 甘かった人たちがいたせいかもしれません)

∇現在、軽水炉用でウラン+プルトニウムの混合燃料
を使う計画を日本が推進しているのですが、扱いが
難しいプルトニウムを使用することになると、今後
の事故の可能性を否定できる人はいないと思います。
ドイツやフランスの過去の事故の状況も確認する必要
もありそうですね。

「原子力発電で本当に私たちが知りたい120
の基礎知識、広瀬隆,藤田祐幸,2000年」によると

22.プルサーマル計画とは
日本の軽水炉では、前述のように核分裂で飛び出し
た高速中性子が水中を透過し、ウラン235の核分裂
が起こりやすいエネルギーの中性子(熱中性子)
に減速する方法をとってきた。プルサーマルでは、
そのウラン燃料のかなりの部分を最初から「プルト
ニウム混合燃料」に置き換え、従来の軽水炉を運転
しようというわけである。

23.プルサーマル計画の危険性
[1]核暴走しやすいプルトニウムが大事故を早める
[2]事故発生時に制御棒の能力が低くなる
[3]燃料棒の破損が炉心溶融事故を起こしやすい
[4]日本には危険性を評価する実証データがほとんどない
[5]放射性廃棄物の危険性が高まる

「プルサーマルとは」
http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data3023.html

「中性子と原子力」
http://www-j.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No88/ebisawa020705.htm

|>  どうも我が国の政策には根本的に無計画?、
|> 無責任?な部分があると思います。
|> (国の計画が全部がダメとはいいませんが)
|> 国の政策だからといって、むやみにその流れに
|> のると、後からとんでもないことになるようです。

∇技術的な問題や国民の生命を脅かすなどといった
問題についてはあまり国は考えていなかった、
というより技術的な難しさや事故の可能性について
は科学者や技術者の中でも一部の人達しかほんとう
には理解しておらず、その当時の国の担当官や
責任者の理解のレベルはかなり低かったのでは
ないかと思われます。
今回の東電他の問題は、原子力発電の見直しの議論
のきっかけになると思います。このまま原子力を
推進していて、もし将来大きな事故があれば、日本
の未来は無くなってしまうかもしれないのですから。



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