月の重力


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投稿者 松本 日時 2002 年 10 月 29 日 23:46:40:

回答先: 月について 投稿者 松本 日時 2002 年 10 月 27 日 14:04:03:


|> 例えば、月の引力の強さが地球の6分の1であると
|> いうことと、質量は地球と変わらないということの
|> 両方から宇宙飛行士の月面での動きを見るとおもし
|> ろいかもしれません。

∇ここでは引用はしませんが、宇宙飛行士にとって
月に行くことは命がけのミッションだったということ
です。中途半端な目的や事実の隠蔽などは無意味な
ことが、この書籍の内容から伝わってきます。
月に関する重力などの記述に的を絞っていますので、
引用はかなり間引いたものになっていますので、その
部分はこれでは伝わらないと思われますが。

「人類、月に立つ,アンドルー・チェイキン,1999年,
原書1994年」より

月着陸船イーグル号のロケット・エンジンが停止して数秒、
砂塵の粒子が長く平坦な軌道に乗って旅立ち、「静かの海」
に10億年の静寂が戻った。船内では、アームストロング
とオルドリンがたかぶりを抑え込んでいた。しなければ
ならないことがまだ残されている。月面に降り立ったいま、
なによりも大切なのは、そこを離れる準備をすることだ。
いつ緊急事態が突発しないとも限らない。

イーグルが舞い降りたのは、広大な平原だった。そこかし
こにあばたが見える。直径数十フィートから1インチの
数分の1程度のクレーターだ。大小の岩も散らばっている。
遠くに連なる丘は、高さが20フィートから30フィート
くらいだろうか。だが、よくわからない。建物や木など、
高さや距離を測る目安となるものがないからだ。大気が
ないために、視界は現実のものとは思えぬほどに澄んで
いる。地上のいちばん澄んだ日でもこうはいかない。
地平線上に見える丘や巨岩も、イーグルの足もとの岩と
同じくらいくっきり見える。まぶしい地平線の向こうは、
15世紀の地球の地図の余白と同じくらいうつろで、宇宙
の闇が見えるばかりだ。

なによりもアームストロングを驚かせたのは、光と色彩の
織りなす異様な光景だった。まっすぐ前方の西の方角では、
昇る太陽の光が月面の淡い褐色に反射してきらめいている。
その光から離れるにつれて、月面はくすんで灰色の色合い
を増し、そこからさらに離れた、首を伸ばして見えるあた
りの、朝の長い影が縦横に交錯するところでは、灰を思わ
せるほんもののグレーに変わっている。

来る者を拒む光景とは思えない。無防備な人間を数秒の
うちに死にいたらしめる場所には思えない。それどころか、
彼とオルドリンを招いているかのようだ。水着でクレーター
に下り、日光浴をしてもよさそうな雰囲気さえ感じられる。

チェックリストでは、平衡感覚とからだの安定をチェック
することになっている。オルドリンはスローモーションで
くるくる回ったり跳ねたりしながら、それをチェックした。
バックパックが動かないことに違和感を覚えた。背中に
背負った質量に負けないためには、常識では考えられない
くらいからだを前傾させなければならない。ここが地球
なら、間違いなくつんのめるほどの角度だ。しかし、重力
の小さいこの世界では、自分が直立しているのかどうかさ
え、簡単にはわからない。遠くに視線を据えながら、「静
かの海」の平原を見わたした。月面がゆったりとした弧を
描きつつ、わずか1マイル半先の地平線に伸びている。
自分とアームストロングがまさに球体に立っていることが
実感できる。

足もとに目を向けると、不可思議な動きが起きていた。
一歩足を踏み出すたびに、細かい粒子がしぶき状に舞い
上がり、完璧な弧を描きながら外側に飛んでいくのだ。
大気のない月面を飛んだ粒子は、やがて、ほぼ等距離の
ところに着地する。興味をそそられたオルドリンは、校庭
で遊ぶ子どものように砂を蹴り、ほこりの筋を優雅に宙に
描いた。自分の足跡の輪郭が、くっきりと残っていること
に驚嘆した。まるでタルカムパウダーを踏んでいるようだ。
そして、そのつどそれを地球に報告した。

月は国際条約によって、どの国も所有権を主張してはなら
ない、とされている。そこに到着した国も、例外ではない。
イーグルの前脚に取りつけられた銘板にも、それは反映
されている。そこにはこんな言葉が刻まれている。「われ
われは全人類のために、平和のうちに訪れた」しかし、
その偉業を成したのはアメリカ合衆国だ。だからNASAは、
月着陸のときに、星条旗を掲げることを決めていた。すで
にアームストロングは、イーグルからおよそ60フィート
のところにスタンドを置き、テレビカメラを据え終えてい
た。そしていま、オルドリンとともにアメリカの国旗を
広げ−空気のない世界で「ひるがえる」ように、端を針金
で補強して−、砂のなかに立てようとした。しかし、いく
ら力を入れても旗竿は十数センチしか刺さらない。一瞬、
世界中の視聴者の前で、アメリカ国旗が倒れそうになった。
それでも、二人はなんとかそれを固定させると、あとずさ
りしながらその場を離れた。

一部の小型クレーターの中心で、何かが光っている。
それは、美しい金属質の光沢を放っている。それがなんで
あるのか、アームストロングには見当もつかないが、作業
台に落ちたはんだが冷えてかたまったものを連想させる。
スコップを持っていればよかった、とアームストロングは
思った。砂塵のそこかしこに透明な結晶のようなものも見
える。いちばん大きいものはクルミの実ほどの大きさだ。
指定サンプルを採取するときに、時間があればあの正体を
確かめにいこう。

「静かの海」は、アームストロングの予想以上にでこぼこ
で、科学実験機器を設置するには理想的な場所とはいえな
かった。しかし、彼とオルドリンはイーグルからおよそ
50フィートの地点に比較的平坦な場所を見つけ、太陽電池
を利用した地震計と、地球からのレーザー・ビームを反射
させるためのプリズムを配置した。前者は月の地震、すな
わち「月震」を感知するための、後者は月と地球の正確な
距離を測るための機器だ。

そのあとは、あわただしさのうちに時が過ぎた。二人で役割
分担をしながら指定サンプルを採取する時間はなかった。
そこで、管制室はオルドリンに、月面にチューブを打ち込み、
地層のサンプル(コア・サンプル)を採取することを求めた。
国旗を立てるよりさらに困難な作業だった。その間にアーム
ストロングは、長柄ばさみを手にせわしなく駆け回り、「静
かの海」の特徴をもっと雄弁に語るサンプルを探した。少し
前に目にした、はんだが冷えてかたまったようなあの謎めい
たものか、透明な結晶のようなものを集めたかった。しかし、
いまはどちらも見つからない。

オルドリンにとっては、永久に月に取り残されるという考え
方は、最初から存在しなかった。そんな悲観的な考え方を
するのは、ミッションの哲学を全否定することにつながる。
そもそも、すべては自分たちの生還を保証するために積み上
げられてきたのだから。それが彼の考え方だった。そして
いま、チェックリストに沿った最終カウントダウンをしな
がら、オルドリンは、カウントダウンがゼロに達したとき、
月の静寂が、息づいたロケットの力に屈するだろう、と
考えていた。

オルドリンはボタンを押した。ほんのつかのま、イーグルは
微動だにしない。ついで、ふいにくぐもった点火音がして、
高速エレベーターのようななめらかさで、イーグルは月面を
離れた。
「離陸したぞ」とオルドリンが歓声の声をあげた。「見ろよ、
そこらじゅうに飛び散っているぞ」外で、月面に残された
降下段の金色のフォイルと破片が、まるでしぶきのように
四方八方に飛び散っていた。
星条旗が倒れた。「静かの海」が遠ざかっていった。
イーグルは嘘のような穏やかさで、月の軌道に向けて上昇
していた。

「APOLLO LUNAR SURFACE JOURNAL」
http://www.hq.nasa.gov/alsj/

「Apollo Image Gallery 」
http://www.apolloarchive.com/apollo_gallery.html

「ALSJ Libraries」
http://www.hq.nasa.gov/alsj/picture.html

「Image Libraries」APOLLO 11
http://www.hq.nasa.gov/alsj/a11/images11.html

「SPACECRAFT FILMS」
http://www.spacecraftfilms.com/

「ONLINE CATALOG」
http://www.spacecraftfilms.com/cgi-sz/webcwrap/szw/st_main.webc

「SPACE HISTORY SERIES」
http://www.spacecraftfilms.com/cgi-sz/webcwrap/szw/st_main.html?catid=1&sid=6rqHJq0WsM7v0yP-08102235842.77



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