投稿者 あつし 日時 2007 年 1 月 31 日 17:10:17:
回答先: 惑星探査 投稿者 松本 日時 2002 年 2 月 24 日 17:41:53:
こんにちは。(再アップ分です。)
惑星探査結果に関しては、まだ全部を出しているとはいえない部分があり、
学者さんの書いた書籍を完全には信用しない方が良いと私は考えています。
(これは書籍の著者を非難するわけではなく、学者はNASAの公式発表
を元に研究をしたり理論を組み立てているので、その土台が後に何らかの
理由で変更されると、せっかくの研究や論文が役に立たなくなる可能性が
ある、と言っているだけです。)
●金星大気に関する諸元。
気圧90気圧。温度470度C。大気の成分は95%が二酸化炭素。他は
窒素、アルゴン、水など。金星の大きさは直径一万二千百キロm。地球の
約95%。自転周期は243日。
(このことから自転による遠心力の影響は考えないでよいと思う。)
(データの引用文献は「スペースガイド2003」:平成15年発行)
赤道上の重力は地球の91%。太陽からの輻射量は地球の1.91倍。
(データの引用は「理科年表」2001年版。)
この大気の数値(温度と圧力)に関しての疑問理由。
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●理由1
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金星の重力が地球の91%だからと言う理由で、金星の大気が地球より少ない
という考え方は出来ない、という事実が挙げられます。
★金星の大気成分から大気圧の高さを説明できない。
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まず、地球の大気と比較して考えてみます。
地球の大気は密度が約1.3(kg/立方m)です。
この内訳は、酸素が20%、窒素が約80%でこの二つが地球大気の大部分を
しめています。ところで、この大気の比重を1とする場合の、他の気体の比重
が理科年表に記載されています。
一番比重が重いのが「ラドン」の7.53で、これが地球大気全部だとすると、
地表の大気圧は7.53倍の7.53気圧になるはずです。他は、キセノンが
4.553、二酸化硫黄が2.264、二酸化炭素が1.529、フレオン1
2が3.931、ヨウ化水素が4.447、フッ化ウランが3.62、などが
重い気体としてあげられます。
金星の大気の大部分は二酸化炭素なので、地球大気を二酸化炭素に置き換えて
みると、二酸化炭素の比重は1.529なので、大気は1.529倍重いもの
に変わります。すると地上の気圧は1.529気圧となるはずです。
なんと地上では大気を全部二酸化炭素に置き換えても、地表の気圧は1.5気
圧ていどにしかならないわけです。
それでは金星上ではどうでしょうか。もしも、地上と同じ温度で、同じ量の二
酸化炭素で金星大気ができていれば、地球の重力の91%の重力しかない金星
では、大気圧は1.529×0.91≒1.4で、約1.4気圧位になるはず
です。
それでは、同様に金星の大気を全てラドン変えてしまうとどうなるかというと、
7.53×0.91≒6.8で6.8気圧にしかなりません。
どうやら通常の気体では、地球の90倍の90気圧には到底至らないようです。
★金星の温度から金星の大気圧を説明できない。
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こんどは温度に関して考えてみましょう。
理想気体では、P(圧力)×V(体積)/T(温度)=(一定)という、
ボイルーシャルルの法則があります。この式から、気体が他に漏れなければ体積
が一定なら温度を2倍にすると圧力も2倍になります。
地球の気温を金星の温度にしてみるとどうなるでしょうか。
話を簡単にするために、大気の体積は一定とします。すると、気温が470度C
になると、圧力は1×470÷273≒1.72となり、約1.7気圧となりま
す。
また、大気を二酸化炭素に変えて、この温度を適用した場合には、1.529×
1.7≒2.6となり、地上では約2.6気圧となります。
実際には、温度を上げると気体の体積が膨張して増えるので、気体の密度は希薄
になってしまいます。つまり軽くなるのですね。空気を暖めると膨張して軽くな
るので上空へと上ってゆくのはこの原理によります。それで惑星の大気圧は上記
の計算どおりに高くはなりません。つまり、P×Vの片方でなく両方が増える為
温度上昇の結果は不確定となります。(最大値は1.72。)
おまけに、惑星の上空は重力が弱いため、惑星大気の場合には、膨張してあふれ
た大気部分は、外側に広がる真空の宇宙空間へと逃げ去って、大気は減ってしま
うはずです。
★想像を絶する90気圧という圧力の極端さ。
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90気圧というと海面下900mの水圧と同じですから、鋼鉄製の頑丈な潜水艇
でも作らないと持ちません。やわな水中カメラなどはペシャンコになって破壊さ
れてしまうでしょう。
1気圧は1cmの四角の表面に1013gの重さがかかっています。90気圧の
場合には約90kgの重さがかかる圧力です。これは1m四方の面積だと900
tの重さがかかっていることになります。こうした強度に耐えられる宇宙船を作
ることは大変なことだと言わざるを得ません。
★金星大気は地球より65倍も多いのか?
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それでは、地球の大気が90気圧になるように増やすには、大気をどのくらいの
量圧縮して詰め込まなければならないのでしょうか。大気は二酸化炭素を使い、
温度を同じとすると、必要な大気の量は、90÷1.529≒58.86となり
約59倍の大気量が必要となります。
金星の場合、大気を保持する重力強度が地球より弱く0.91倍しかないために
大気圧を90気圧にするためには、さらに多くの大気量が必要となります。(そ
のままの大気を金星の上に持ってゆくと81.9気圧に減ってしまう。金星上の
重力強度で90気圧を得るには、90÷1.529÷0.91≒64.68で約
64.7倍の大気量が必要。)
さて、今度は温度を金星と同じにあげてみます。金星の大気が密閉された空間だ
と仮定するわけです。すると、金星の大気が膨張するので圧力は高くなります。
しかし、それでは結果が複雑になるので、密閉してしまう場合を考えてみます。
つまり体積は変わらないようにするわけです。すると、この場合PV/T=(一
定)から、圧力は、64.68×470÷273≒111.35となり、111
気圧にもなってしまいます。この温度と条件で90気圧を得るには、64.68
×273÷470≒37.57より約37.6倍の大気量が必要だという計算に
なります。
しかし、実際には大気は宇宙空間へ開放されているので、密閉空間の式は当ては
まりません。圧力は温度に比例して上昇しないはずです。むしろ体積が増えて膨
らんでゆくだけかもしれません。そうなると大気の重心が上へ移動することにな
り、それにかかる引力が弱くなるため、実際の圧力は下がってしまうことが考え
られます。ところがこの値の大きさは簡単には計算できません。
つまり温度を上げた場合には、大気量は64.7倍以上必要となり、この値は最
低値を意味することになります。おそらく、これよりは絶対多い量を投入しなけ
れば90気圧にならないだろうと言えるのです。
こうしたことを考慮すると、金星が地球大気の64.7倍を超える大量の大気を、
どのように保持しているのかという理由が重大な問題と考えられます。
通常、惑星の大気は惑星の重力が主たる大気の保持力と考えられていますから、
金星の場合には地球より弱いので、別な特殊な条件が必要となるはずです。
こうした圧力の極端さと共に、上記の考え方から、金星大気がそのような圧力を
生じるには、いままで気がつかなかったような思いもかけない条件が必要だと思
われるのです。
★探査衛星の軌道要素からみた金星大気の量は少ない
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金星探査機のなかでパイオニア・ヴィーナス1号と二号機は金星周囲を回る軌道
に乗りましたが、その周回軌道の高度に問題があります。
パイオニア・ヴィーナス1号機は、1976年5月20日に打ち上げられ、同年
12月6日に金星周回軌道に乗りました。この探査機はそのまま金星周回軌道上
に1992年10月9日まで、実に26年間もの長きにわたり留まりました。し
かしある書籍によると、この探査機の周回軌道は高度145kmであったといい
ます。(注1参照)。地球の場合には、高度が200kmの人工衛星は薄い大気
の抵抗で、軌道が次第に落ちてしまい、一年くらいしか留まれないといわれてい
ます。(Microsoftエンカルタ参照)。ところがこの探査機の軌道はそれより55
kmも低いのです。それが26年間も軌道に留まれたということは、金星大気が
高度145kmでは地球よりも希薄であったという証拠になるはずです。
また、同じく金星探査機パイオニア・ヴィーナス2号機は、金星のレーダーマップ
を作成するために金星周回軌道にのりました。この探査機の軌道は、遠地点が6万
6千900km、金星に一番近づいた近地点がやはり145kmの楕円軌道に乗り
ました。
こうした近地点を決定するのに重要な要素は、惑星にできるだけ接近することです
が、あまり近づきすぎると危険な大気濃度をもつ大気圏に突入して、燃えたり落下
してしまうのです。地球の場合、高度50−90kmで大気による摩擦熱で隕石が
白熱して、光を発し燃え上がる大気濃度に達します。スペースシャトルや他の人工
衛星もこうした高度を絶対に避けて飛行しているのです。スペースシャトルなどは
通常500kmくらいの高度を周回していて、帰還するための大気圏突入高度を
120kmに設定しています。
★金星や地球、火星の温度は宇宙から見ると、さほど変わらない
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大気の温度に関しては、反射率を考慮した惑星からの輻射理論をもとに計算をし
てみると、金星と地球や火星は、それほど温度が変わらないという結果が出てき
ます。つまり、真っ赤に熱した鉄の玉からの電磁放射をスペクトル分析して、も
っとも強い電磁波の放射領域を求めると、その鉄の玉の温度がわかるのと同じ方
法です。これも機会がありましたらアップしてみたいと思います。
総じて言えることは、金星に関しては情報があまりにも少ないので、火星以上の
ことはわからないと言うことです。
★金星には過去に36機の探査機が派遣された。(火星へは33機。)
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しかし、火星探査に比較して金星探査が熱心でないかというと、そうでもないの
です。むしろ派遣された探査機の数から言うと金星の方が多いのです。過去に派
遣された探査機の数内訳はソ連29機、米国7機(合計36機)。一方、火星探
査機はソ連17機、米国16機(合計33機)という具合です。
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●理由2
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惑星探査結果が正直に出されているという保障がないということです。
たとえば火星探査でも、過去に火星写真の色が正確に出されていなかったという
事実が挙げられています。これは、色フィルターの組み合わせを違えて実際より
赤くしたり、青部分を飛ばして赤っぽい写真にしていたという事実があります。
この件に関しては「きち」さんのHPをご覧ください。火星上の色に関しては他
にも多くの研究家達が研究をして、すばらしい写真を再現しています。
「惑星の秘密画像版」
http://kiti.main.jp/bbs/wakuseibbs021/joyful.cgi
「きちさんのHP」
http://kiti.main.jp/
「金星の表面のカラー写真:ベネラ13号」
色補正板が色補正されていないことがわかります。
http://www.solarviews.com/raw/venus/vener13r.jpg
金星写真の参考HP
http://www.solarviews.com/eng/venus.htm
ベネラ9号&10号の写真(Venera 9 & 10)
http://www.solarviews.com/cap/venus/venera9.htm
金星のカラー写真(ベネラ13号; Color image)
http://www.solarviews.com/cap/venus/venera13.htm
ベネラ13号&14号の写真
http://www.solarviews.com/cap/venus/venera13.htm
http://www.solarviews.com/cap/venus/venera14.htm
(注1「あなたの学んだ太陽系情報は間違っている」たま出版より)
|> ∇現在、惑星探査などによりわかっている金星
|> の大気の状況を説明した書籍がありましたので、
|> 一部を紹介します。
|> この中には、「金星大気にはかつて大量のH2O
|> (水分)があり、・・・」といった説明もあり、
|> 過去の状況が気になるところです。
|> 「岩波講座;地球惑星科学−12比較惑星学,
|> 松井孝典他,1997年」より
|> 4 惑星大気・惑星磁気圏
|> 4.2 惑星大気の概観
|> (a)金星
|> ・金星大気は高温高圧の二酸化炭素大気で特徴づけ
|> られている。
|> 大気はほとんどすべて二酸化炭素であって,3%の
|> 窒素を含む。
|> 地表気圧は9.2MPa,地表温度は735Kと推定される。
|> 金星大気の鉛直構造は図4.9に,大気組成は表4.5に
|> 示されている。
|> ・金星は10個以上の探査機(米国と旧ソ連)が直接
|> 大気内に入ってその場観測行っているため,地球に次
|> いで最もその場観測データが多い惑星である。
|> しかし,高温のためにプローブの寿命が短く,下層
|> 大気の継続的なその場観測はない。
|> 金星大気は全面的に雲に覆われているために大気外
|> から可視光で地表を見ることはできないが,直接的
|> な観測がない60年代にすでにマイクロ波の観測から
|> 高温高圧の地表は推定されていた。
|> ・図4.9は探査機のデータにもとづいて推定された
|> 金星標準大気の構造を示している。
|> 高度50−65kmに全球をほぼ一様に覆う雲の層があり,
|> さらにその上80−90km高度までもやの層が存在して
|> いると考えられている。
|> 雲の下の温度勾配はほぼ断熱温度勾配に従うが,断熱
|> 温度勾配よりは有意に(1K/km 程度)安定である。
|> 地球の場合と異なって地表温度は緯度方向にほとんど
|> 変化せず,南北の温度差は5K 程度しかない。
|> 金星の1太陽日は116.7日(公転周期は224.7日,自転
|> 周期は243日で公転と逆向き)と長いにも関わらず,
|> 気温の日変化はほとんどない。
|> これは大気が放射冷却の時定数が大きい(表4.1参照)
|> ためである。
|> さらに,自転軸がほとんど直立しているために季節
|> 変化もない。
|> ・金星を覆う雲のアルベド効果と厚い大気のために
|> 地表にはわずかしか太陽放射が届いていない。
|> 雲のアルベドは平均77%に達しているため,金星大気
|> における正味太陽放射は地球における正味太陽放射
|> よりも小さい。
|> さらに厚い大気のなかで吸収されるため,地表面に
|> 達する太陽放射は大気上端における量の数%にすぎ
|> ない。
|> それにも関わらず高温の大気が実現されている理由
|> は温室効果による。
|> Pollackらの数値計算によるとCO2が463K,H2Oが218K,
|> 雲が113K,SO2が52K,COが13Kの温度上昇に寄与して
|> いるとされる。
|> 微少量であるにも関わらず水の効果が大きいことに
|> 注意しよう。
|> 雲も重要である。
|> 金星の下層大気の温度分布は,雲層の上端で有効放射
|> 温度になるような断熱温度勾配で大まかに近似できる。
|> つまり雲は赤外線に対して不透明で、惑星放射にとっ
|> てはあたかも地面のように振る舞っている。
|> ・大気の温度は65−100kmの間は高度とともに減少し,
|> 地球のような明確な成層圏を欠いている。
|> したがって,これら全層を中層大気とよぶ。
|> 中層大気においても日変化はきわめて小さい。
|> さらに高層の温度は100km以上の高度で増加し昼間側
|> では170km,高度で300Kに漸近する。
|> 熱圏温度は地球よりもはるかに低い。
|> 地球では昼夜の差は200Kで全体の20%程度であるが,
|> 金星ではやはり昼夜の差は200Kで,この場合は100−
|> 300Kと3倍も変化することになる。
|> 熱圏温度の観測は原子酸素のスケールハイトの観測
|> にもとづいている。
|> 夜側の「熱圏」は熱圏とよぶにはふさわしくない低温
|> である。
|> そのために,しばしばcryosphereとよばれる。
|> 同じ用語は地球の氷点以下の領域にも用いられるので
|> 注意が必要であろう。
|> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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