投稿者 スターダスト 日時 2001 年 3 月 07 日 12:49:20:
3月7日の新潟日報のコラム日報抄に興味深い記事が掲載されておりました。
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昨年秋と年明けに相次いで友人二人ががんで入院した。見舞っても元気づけるいい言葉が見つからない。そんな折に、佐渡金井町出身の浅島誠東大教授(56)から興味深い話を聞いた
▼河原などに生息するイモリは毎年、秋になるとがんを患う。ところが越冬中は体温が五度近く下がるため、血球ががん細胞の手前で固まり血管を詰まらせる。がん細胞はかさぶたのようにポロリと落ち、春には再び元気にすばしっこく動き回っているという
▼イモリには失った足や尾を再生する能力も備わっている。カエルやイモリの臓器や組織(神経や皮膚)を試験管の中でつくっている教授は自然界の奥深さを日々、感じ入っている。「人間は再生能力や自然治癒(ちゆ)能力を失ってきた。自然から謙虚に学ぶべきです」と強調する▼少年時代にトキの繁殖や稲作などを見聞きしながら生物学に興味を持った。「佐渡で育ったおかげだ」ともいう。研究生を連れてわざわざ村上市の河原にイモリ採取に行く。野外で遊ぶことの少なかった学生たちは、自然の生態に触れ感動することがしばしばだそうだ
▼「数年後に人間の移植用臓器ができるだろう」と大胆な予測をする教授。現実のものにするのは教授自身なのか、それとも欧米の学者か。激しい先陣争いが展開されている。とはいえ研究が「ヒト」領域に入ると深刻な倫理上の問題がはらんでくる
▼文部科学省は初期にヒト受精卵(胚)からつくられる胚性肝細胞を使った研究を当面、基礎研究に限定する指針案を発表し、国民の意見を募集している。病床の友人を思いつつ、国民が安心できる指針をと願うばかりだ。