Re: 脳内現象


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投稿者 松本 日時 2003 年 5 月 31 日 22:58:58:

回答先: 脳内現象 投稿者 日時 2003 年 5 月 27 日 01:06:03:

|> 一つ分からないことがあるのですが、よく臨死体験
|> も脳機能(ホルモン分泌など)でかなり類似の現象
|> が起こることが確認されていますが、米国在住の
|> 日本人医師の体験として立花隆氏が取材した不思議
|> な話があります。

∇「トンデモ超常現象99の真相,と学会,1997年」
に1977年春にシアトルの病院で起こった体外離脱体験
の紹介があります。
これは、マリアが心停止の最中に体外離脱を起こし、
自分が処置されるのを天井から見下ろしていただけで
なく、病院の外に出て、病院北側の三階の窓にブルー
のテニスシューズが片一方だけ乗っているのを目撃
したという内容です。
この例は、立花隆氏の「臨死体験」の中でも、信憑性
が高い話として取り上げられている話なのですが、
「Skeptical Inquirer,July/August,1996」のレポート
と比較すると真偽の判断に必要な条件が異なっており、
立花氏の調査内容に間違いがあると見なされている
ようです。
書いてあることをそのまま鵜呑みにしないで、他の
調査内容と比較して、よく吟味してみる必要がある
のではないでしょうか。

|> 脳の機能というのは、頭蓋骨の内部に限らず、
|> センサーのようなもので外部の情報を収集して
|> 幻覚化(視覚化)するような作用も可能性と
|> してはあるのでしょうか? 

∇現在、言われているのは、脳は人が持っている感覚
器官を経由して入ってくる情報(1秒間に約1100万
ビット)を処理し、そのうちの約100ビットほど
を意識に上げるということです。

|> 単純なたとえですが、寝ている人の横でカレーライス
|> の匂いをかがせると、カレーライスの夢を見たりする
|> 例のように、外部の情報が脳機能に影響すること
|> があると考えた場合、幻覚なるものが、時には外部の
|> 影響を受けて、ラジオの電波のように、他の人間が
|> 放った想念をキャッチして、視聴覚化する可能性
|> もあるのでしょうか? 

∇幻覚の内容が外部からの情報によって影響を受ける
ことはあるようですが、今のところ、想念波動が存在
することは確認されていません。全ての可能性を否定
することはできませんが、十分に信頼のできる実験に
よって検証されたということは未だないのではないで
しょうか。

|> 脳の機能はやはり不思議だと感じます。

∇脳に関しては、いろいろ不思議な現象が確認され
つつあるのですが、その一部を紹介すると、

・脳は脳を意識しない
無視されがちな単純な事実がある。脳にはそれ自身
についての意識はない、ということだ。
脳が無感覚であることはアリストテレスの時代から
知られていた。たとえば皮質にピンを突き刺しても
脳が痛いとは感じない。脳には脳についての知覚感覚
がない。

・一つの意識。二つの心。?
脳梁離断症状をみていると、意識は一つかも知れない
が、活動している心は確かに二つある、という思いに
かられる。
スペリー、ガザニガらのグループの見事な実験では、
両半球に同時に別々の人物の顔を入力すると
(タキストコープを使えばこのようなことができる)、
左半球の顔が意識に上り、その名前を正しく命名するが、
右半球に入った顔についても、左手で多くの選択肢
から選ばせれば正しい顔を選ぶ。
しかし意識にあがるのは左半球に入った顔だけで、
右半球に入った顔のことについては知らん顔をして
いる。意識に上らないが、正しく処理はなされている。
すなわち正しく知覚し、記憶と照合し、正しく出力
しているのである。心(?)としてはちゃんと働いて
いるといえよう。

・意識と無意識
肝心なのは、行動のプロセスを始めるのは人間の意識
ではなく、ほかのもの、つまり無意識である、という
点だ。決めるのは本人だが、決める力を持っているの
はその人の<私>ではない。<自分>なのだ。
私たちは<私>と<自分>を区別しなくてはならない。
<私>は<自分>と同一ではない。<自分>は<私>
以上のものだ。<私>が決断しないときに決断する
のは<自分>だ。
<私>は意識ある行為者であり、<自分>はその人全体
である。<私>に支配権がない状況は多い。たとえば、
急を要する場合がそうだ。<私>の担当は、考える時間
がある無数の状況だ。
だがいつも時間があるとはかぎらない。

意識の帯域幅の測定や、閾下知覚、そしてリベットの
実験から得られる実験的証拠から、<私>は、自分で
思っているほど多くの決断をしていないことがわかる。

20世紀末の今、人間であるとはどういうことかという
認識に根本的な変化が起こりつつあるが、この区別は
その変化を端的に表している。人は感知していること
のじつに多くを意識していない。
人は考えていることのじつに多くを意識していない。
人はやっていることのじつに多くを意識していない。

私たちはリベットの発見した遅れによって、<私>と
自由意思のどちらかの選択を余儀されている。
私たちは自分で思っているものをはるかにしのぐ存在
だという事実、自覚しているよりはるかに多くの資質
を持っているという事実、そして、気づいているより
も広い世界に影響をおよぼしているという事実と、
向かい合わなくてはならない。

[参照文献]
「自我が揺らぐとき,トッド・E.ファインバーグ,2002年」
「脳のふしぎ,山鳥重,2003年」
「ユーザーイリュージョン,トール・ノーレットランダーシュ,2002年」



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