投稿者 コスモス 日時 2002 年 7 月 28 日 08:26:42:
回答先: オルパースのパラドックス 投稿者 松本 日時 2002 年 7 月 21 日 22:33:58:
松本さん。
「夜空が暗くみえるのは、宇宙が膨張しているため」という話、
ありがとうございます。
コスモスもこのパラドックスについては、何かの本で、はじめて
読んだ時に感動しました。(本の名前は忘れてしまいましたが)
たしかに宇宙の膨張論の有力な根拠ですし、直感的に分かりやすい
理論です。
宇宙膨張論について、少し補足しますと、
宇宙空間がどこでも一定の速度で膨張していると考えると宇宙にある
星々は少しずつ離れてゆきます。
すると例えば地球にいる観測者から見て遠い星ほど早い速度で遠ざか
ることになります。(この点が意外とわかりににくい)
遠ざかる星から出た光は、ドップラー効果によりその波長が長くなり
ます。(これが赤方偏移と呼ばれる現象)
という話ですね。
「ドップラー効果」て何という人は、たまには物理の本を少し読んで
みることをおすすめします。
ちなみに遠い星ほど早い速度で遠ざかるため、地球から最も遠い星は
光の速度で遠ざかるように見えます。
それ以上離れた空間は地球からは観測できないので、光の速度で遠ざ
かる空間が、地球から見た宇宙の果てということになります。
(私が読んだ本ではそう説明されていました)
ところで「ウラシマ効果」という現象をご存知でしょうか?
静止している観測者から見て、高速で移動する物体では経過する
時間が遅くなるという現象です。
(この効果については解説はできません。物理のとくいな人に
きいてみてください。)
とすると、地球から見て遠い星ほど高速で移動しているならば、
その星の時間の経過も遅く見えるのでしょうか?
これも宇宙なぞなぞの一種なのでしょうか?
|> ∇もし宇宙が膨張していなかったならば、地球は
|> 代表的な星の表面光度と同じくらいになってしまっ
|> ていた、ということのようです。
|> 「宇宙物理学の最前線,J・ナーリカー,F・ホイル,1991年」
|> [オルパースのハラドックス再考]
|> 膨張する宇宙によってオルパースの行った計算がどの
|> ように修正されるかを見てみよう。
|> オルパースのもっていなかった情報の本質的な部分
|> は赤方偏移の現象の中に含まれている。
|> 例えば、遠くの銀河から毎秒あたりに送り出される
|> 光量Lを考えてみよう。
|> 光量子はわれわれに到達するまでに赤方偏移する。
|> したがって光源で振動数ν,エネルギーhνの量子
|> は受け手のところで、
|> hν/1+z
|> のエネルギーをもつ。
|> さらに時間の尺度も影響を与える。
|> そのため、光源でこの量子が放出されている時間間隔
|> Δは受け手のところで
|> Δ・(1+z)
|> の時間間隔に広がっている。
|> この結果、受け手のところで単位面積あたり毎秒受け
|> とる光量はオルパースの計算した
|> f=L/4πD^2
|> ではなく、第12章の最後に引用されている
|> f=L/4πD^2(1+z)^2
|> になる。
|> このように、遠くの殻は大きな赤方偏移をもつため、
|> オルパースが見積もったよりはるかに小さな奇与しか
|> ない。
|> すべての殻からのこのような奇与を無限まで加えると、
|> 天空を効果的に暗くするような小さな答しか得られない。
|> 夜空が暗いのは実は宇宙が膨張しているためであると
|> 言ってよいのだ。