プルトニウム


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投稿者 松本 日時 2002 年 10 月 06 日 09:55:38:

回答先: 原子炉の実態 投稿者 松本 日時 2002 年 9 月 28 日 23:05:57:

∇以下は、プルトニウムに関する事実の認識
の違いです。この二つの本の書かれた1996年
と2000年の4年間の時期の違いはありますが、
1993年には既にNHKで紹介されているという
ことのようです。
日本の学会のレベルの問題なのか政治的な
思惑の問題なのか、それともどうしても避け
られなかったことなのかを考えてみる必要
もありそうですね。

1.「原子炉の暴走;SL-1からチェルノブイリ
まで,石川迪夫,1996年,日刊工業新聞社」

[3.1.4 制御棒価値]
余談になるが、増殖炉というのは炉心の周囲に
ウラン-238を配置して、炉心から漏れ出す中性子
をつかまえては、プルトニウム-239を作り出す
よう工夫した原子炉で、核分裂一個当り一個以上
のプルトニウム-239ができる。こんな原子炉が
実用化すれば、ウラン-235をいくら燃焼させても、
新しい核分裂材料であるプルトニウム-239が、
それ以上に生産されるということになる。
使えば使うだけ燃料が補給されていくという、
世にも不思議な、金の成る木のようなうまい話
ですぐには信用できかねるが、科学的にはこの
事柄は正しい。

動力炉・核燃料開発事業団が福井県敦賀市白木
に建設した原子炉「もんじゅ」がそれである。
本書の執筆中、二次ナトリウムの漏れ事故を
起こして大問題となっているが、この無限の
エネルギー資源を作るにも似たようなうま味の
ある発想は、将来の人類エネルギー問題解決の
ために、ぜひ具現化していかねばならない。

だが、残念なことに、今日の世界情勢では、
テロリスト達がプルトニウムを使用して原爆
を作るのではないかとの心配が大きく、米国
が開発に消極的である。その影響もあり、
原子力推進諸国の中でもエネルギー資源の
少ない日本とフランスが、研究を行っている
という状況下にある。

2.「原子力発電で本当に知りたい120の基礎
知識,広瀬隆,藤田祐幸,2000年,東京書籍」

[20 プルトニウム増殖の理論は事実上破綻した]
現在、電力業界でも、高速増殖炉の成功を信じ
る人間はほとんどいないと言われる。
それは、前述の技術的な危険性、莫大な開発
コストと無関係な、さらに基本的な問題による。
それは「核分裂しないウランを利用してプルト
ニウムを増殖する」というもくろみそのものが、
実際の増殖炉リサイクルのなかで効率的に起こ
らないことが判明したからである。
最近の知見によれば、高速増殖炉が無事故で
運転されても、本項の冒頭で述べたように
プルトニウムが百倍になるのではなく、九十年
後にプルトニウムがようやく二倍になる可能性
があるにすぎないという。この驚くべき事実は
93年5月23日にNHKスペシャル「プルトニウム
大国・日本」で電力会社サイドの見積もりとし
て紹介され、のち動燃の幹部も認めている。

この理由もあきらかにされている。まず第一に、
これまで語られてきた増殖率は、原子力産業を
推進するための宣伝目標値であって、実物の
原子炉のなかでは、そのように高い効率で
プルトニウムが生まれないこと。

第二に、増殖炉を運転するためには、燃料の
プルトニウムを再処理によってリサイクルし
続けなければならないが、その処理のあいだ
膨大なプルトニウムのロスが生じること。

第三に、リサイクルを順調に進めるには、完璧
な増殖炉を大量に必要とすること。
このように、現実に解決不能な数々の条件が、
当初の机上計画で無視されてきたのである。

さらに大きな問題は、「増殖炉から発生する
使用済み核燃料」を再処理する技術が日本には
ないことにある。この化学処理に成功しなけれ
ば、プルトニウム原料は得られず、増殖炉
リサイクルのシナリオ自体が成り立たない。



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