投稿者 松本 日時 2000 年 9 月 23 日 19:48:18:
回答先: あいまいな思いつき 投稿者 松本 日時 2000 年 9 月 21 日 22:23:38:
「細胞の分子生物学」より
・遺伝子はDNAでできている
人間は、作物の種子をまいたり動物を育てるように
なったとき、種子や受精卵の中に生物ができあがって
いくためのプログラムがある、と思ったに違いない。
現代遺伝学の発展は、目に見えない情報をもった
遺伝子とよばれる単位があり、細胞分裂のたびに
娘細胞に分配されるという仮定に基づいている。
細胞が分裂する前には必ず遺伝子のコピーが作られ、
娘細胞にはそのセットが渡される。
精子と卵細胞にある遺伝子は、世代から世代へと
遺伝情報を運ぶ媒体である。
生物の特徴の継承も、物理や化学の法則に従う原子
のふるまいによっている。
言い換えれば、遺伝子も分子でできているのである。
最初は、このような分子の姿は想像しにくかった。
細胞内に蓄えられ、生物の発生を指示し、また正確
かつほぼ無制限に増殖できる分子とはどのようなもの
だろうか。
19世紀の終わりごろまでに生物学者は、細胞の分裂
の際に核内に現れる染色体が遺伝子の担い手であると
いうことを認識していた。
しかし、この染色体の中のDNAが遺伝物質であると
いうことは、かなりのちになって細菌の研究で証明され
た。1944年、ある細菌株から精製したDNAを少し
違った株に与えると、前者の特徴であった遺伝的性質が
後者に移ることが示された。
当時、遺伝情報を担えるほどに構造が複雑なのは
タンパク質だけだと信じられていたため、この発見は
非常な驚きであったし、1950年代の初めまで一般
には受け入れられなかった。
現在はDNAがヌクレオチドの長い鎖の中に遺伝情報
を担っているという考えは、生物学にとってあまりに
あたりまえなので、この考えによってどれほどの知的
ギャップが埋まったかを忘れがちである。