投稿者 松本 日時 2002 年 8 月 03 日 09:04:53:
回答先: Re: オルパースのパラドックス 投稿者 ドライもん 日時 2002 年 7 月 31 日 23:13:32:
|> 夜空が暗く見えるのは、赤方偏移の件で説明される
|> わけですね。
∇オルパースのパラドックスを回避する方法は、
いくつかあります。
１．宇宙の大きさに限界がある場合。
・宇宙の年齢は無限でもかまわない。
・星の寿命は無限でもかまわない。
・赤方偏移があってもかまわない。
２．宇宙の大きさが無限である場合。
・宇宙の年齢が有限である。
・星の寿命が有限である。
・宇宙が膨張している。従って、赤方偏移が観測される。
そして、現在の天文学と宇宙の観測結果によると、
１．我々が住んでいる宇宙の大きさには限界がある。
・我々の住んでいる宇宙の年齢は有限である。
・星の寿命も有限である。
・宇宙が膨張しているため、赤方偏移が生じている。
のケースとなり、十分に夜空は暗く見えるという結論
となります。
|> 現在は膨張宇宙論が主流のようですが、
|> 膨張しない宇宙論も当然ありますよね。
|> 赤方偏移の問題（遠くの銀河ほど赤方偏移が大きい）
|> を解決する方法は、宇宙が膨張していると考えなくても
|> あると思うのですが、
|> その辺のところはどうなのでしょうか？
∇ハップルの赤方偏移が生じる原因は、通常は宇宙
が膨張しているためと考えられていますが、別の
考えもあります。例えば、
１．F.ホイルの説明
・ハップルの赤方偏移は膨張のない宇宙で粒子の質量
が時代とともに変化することから生じると解釈できる
「宇宙物理学の最前線，F.ﾎｲﾙ&J.ﾅｰﾘｶｰ，1991年，
原書1980年」第１４章 慣性と宇宙論
§14-5 宇宙膨張の別の表現
があります。説明がかなり長いので、ここに記載
できませんが、アインシュタイン−ド・ジッター
モデルを用いた説明です。
２．アープの観測結果
「なっとくする宇宙論，二間瀬敏史，1998年」
[アープの反乱]
・もっとも、宇宙が膨張しているという考えに反対
している天文学者も、ごく一部ではあるが存在する。
・その代表的な人物が、アメリカの天文学者アープ
である。
アープは、赤方偏移がまったく異なる二つの天体が
つながって見えるような写真を何枚も撮り、こう
主張する。
・「もし赤方偏移が宇宙膨張によるものなら、
赤方偏移が異なる天体は我々から違った距離に
あるはずだ。
したがって、赤方偏移がまったく異なる天体どうし
がつながっているはずがない。
それなのに、自分が撮った写真では、赤方偏移が
異なる天体の間にあたかも橋がかかっているように
見える。
つまり、赤方偏移は宇宙膨張によるものではない
のである」。
・確かに、彼の撮った写真を見ると本当に、
クェーサーと銀河がつながっているように見える。
しかし大方の解釈は、たまたま同じ方向に二つの
天体があって重なって見えたものということに
なっている。
・このような主張をする以前のアープは新進気鋭
の観測家として将来を嘱望されていたが、宇宙膨張
を否定するようになって以来、望遠鏡の観測時間
を与えられなくなり、アメリカを去ってドイツの
研究所に移ってしまった。
アメリカの競争社会ではいつも流行の分野を追い
かけている方が職にありつきやすいのだが、
ヨーロッパは、異端の説を唱える主張者も受け入れ
るだけの余裕があるのかもしれない。