局所的、トポロジー、、


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投稿者 Tatsuro 日時 2004 年 9 月 05 日 22:18:57:

回答先: Re: 共感覚、クオリア 投稿者 Vosne 日時 2004 年 9 月 05 日 11:10:58:


|> ∇もしかすると、お持ちになっている数学の本の中
|> にあるのかも知れませんが、多様体について比較的
|> わかりやすい説明がありましたので、少し紹介して
|> みます。ただ、この説明は概要説明なので、もし
|> 詳細について理解しようとされているのでしたら、
|> この紹介はあまり意味が無いのかもしれませんが。

|> 「多様体の基礎,松本幸夫,東京大学出版会」より
|> ・幾何学の対象は空間である。
|> それも,目の前に広がる現実の空間というより,
|> むしろ多かれ少なかれ理想化された’数学的空間’
|> である。
|> たとえば,平面や直線は典型的な幾何学の対象で
|> あるが,どこまでも平らに広がった平面や
|> どこまでもまっすぐに延びている直線が現実に
|> あるわけではないから,幾何学的な平面や直線は
|> 理想化された対象と言える。
|> 数学で言う空間と日常語の空間とは意味がずれている。
|> それは,次のことからもわかると思う。
|> 日常的な言葉遣いでは,机の表面のように厚さの
|> ない平らな面を’空間’とよぶことはないが,
|> 数学では,’平面は2次元の空間である’と言う。
|> さらに,直線は1次元の空間であると言ったり,
|> もっと極端に,点は0次元の空間だと言ったりする。
|> こうなると,日常語からのずれは一層大きくなる。
|> 現実の空間,つまり我々の宇宙空間は,我々の知る
|> 限りただひとつしかない。
|> これにひきかえ,数学的空間にはいろいろのものが
|> 考えられる。
|> 平面は2次元の空間であると言った。
|> 2次元の空間にもいろいろのものがあって,
|> 平面のように平らな2次元空間もあれば,曲面の
|> ように曲がった2次元空間もある。
|> じつは3次元でも4次元でも,もっと一般にm次元
|> でも,まっすぐなm次元空間や曲がったm次元空間
|> を考えることができる。
|> そのような空間がこれから学ぼうとしている多様体
|> である。
|> 多様体は平面や曲面の概念を一般の次元に拡張した
|> ものである。
|> とくに,平面や曲面は2次元の多様体であり,また,
|> 直線や円周は1次元の多様体である。

|> ・空間の限られた範囲に描かれた座標系を
|> 局所座標系という。

|> ・多様体とは平面や曲面を一般次元に拡張した概念
|> だと述べた。
|> 局所座標系という言葉を使ってもう少し正確に
|> 述べると,多様体とは,どこでも好きな所に
|> 局所座標系が描けるような空間である。

|> 「微分・位相幾何,和達三樹,岩波書店」より
|> ・多様体という用語をはじめて聞く人もいるで
|> あろう。
|> 一方,曲線とか曲面に対しては,数学的記述は
|> 別として,日常的にも用いられているので直感的
|> イメージがあると思う。
|> 大まかに言えば,曲線は1次元多様体,曲面は
|> 2次元多様体である。
|> まずは恐れる必要なない。
|> 例として,2次元球面(ゴムボール)を考えよう。
|> これは明らかに,2次元ユークリッド空間とは
|> 異なる。
|> ところが,2次元球面(ゴムボール)上の昆虫,
|> 例えばアリは自分の周囲(近傍)と
|> 2次元ユークリッド空間の小領域とを区別
|> できないであろう。
|> 歩きまわっても,この状況は同じである。
|> 昆虫を例にあげたが,地球上に住む人間として
|> もよい。
|> かなり前になるが,いぜんとして地球は平らで
|> あると信じている人たちの協会がイギリスにあり,
|> その人たちがアメリカに行って,やはり地球は
|> 平らであると”発見”した記事を読んだことが
|> ある(もちろんジョークなのだが,本人たちは
|> 真剣らしい)。
|> ともあれ,2次元球面(ゴムボール)は多様体
|> の一例である。
|> 同様に,トーラス面(浮輪)も多様体である。
|> ところが,円錐は多様体ではない。頂点以外は
|> 局所的に2次元ユークリッド空間(平面)
|> と同じであるが,頂点の近傍は1つの
|> 2次元ユークリッド空間で表すことができない
|> からである。

===================

「多様体の基礎,松本幸夫,東京大学出版会」
はありました。

改めてこの引用されたところを読み、なんとなくイメージ
はつかめたと思います。ありがとうございます。

局所座標系という言葉に魅力を感じます。なにか局所的に
とらえてそれが全体を説明するというようなことは、いろ
いろあると思うんです。
局所的な見方、大域的な見方、通常とは異なる見方で、現
象が説明できないか、とか、こういう見方をすると、気づ
いていないことがいろいろと発見できるのではないかと思
いますね。

次元を増やして考えるということをいいましたが、
次元を減らすという見方も面白いのかもしれません。


===================

|> ∇トポロジーについては、以下の本に概要説明
|> があります。ただ、数学の本ではないので、
|> 詳細は書いてありませんが、少し紹介します。

|> 「ブラックホールと時空の歪み,白揚社,
|> キップ・S・ソーン」より
|> ・新しいアイデアはしばしば、もっと奇妙な瞬間、
|> 全然予想していない瞬間に訪れる。
|> 私はこれは、アイデアは無意識から生まれ、
|> 無意識は心の意識的な部分があまり活動していない
|> ときに、もっとも効率的に働くためであろう、
|> と推測している。
|> いい例は、スティーブン・ホーキングが1970年に
|> ベッドに入る準備をしているときに行った、
|> ブラックホールの地平はつねに増大するという
|> 発見である。
|> もう一つの例は、ブラックホールの内部にある
|> ものに関するわれわれの理解を変えたペンローズ
|> の発見である。

|> ・ペンローズの特異点定理が驚くべき力をそなえて
|> いるのは、彼がその証明に新しい数学的道具を用い
|> たことにもとづく。
|> それは物理学者が湾曲した時空の計算に、つまり
|> 一般相対論の計算にかつて用いたことのなかった
|> 道具だった。
|> その道具とはトポロジー(位相数学)だった。

|> トポロジーとは事物がたがいに、あるいは自分
|> 自身と連結し合う仕方を定性的に論じる、数学
|> の一分野である。
|> たとえば、コーヒー・カップとドーナツは
|> 「同じトポロジーをもつ」と言われる。
|> それは(もし、どちらもパテで作られていると
|> すれば)、滑らかに連続的に、図形を切り裂く
|> ことなしに、つまり連結を何ら変えることなしに
|> 一方の形から他方の形に変形できるからである。
|> これとは対照的に、球とドーナツは異なる
|> トポロジーをもつ。
|> 球をドーナツに変形するには、球に穴を開けて、
|> それ自身との連結の仕方を変えなければならない
|> からである。
|> トポロジーは連結についてだけ関心をもち、形や
|> 大きさや湾曲には関心がない。
|> たとえば、ドーナツとコーヒー・カップは形と
|> 湾曲は大いに異なるが、同じトポロジーをもって
|> いる。

|> ペンローズの特異点定理以前には、われわれ
|> 物理学者はトポロジーを無視していた。
|> それは、時空湾曲が一般相対論の中心的な概念
|> であり、トポロジーが湾曲については何も教えて
|> くれないという事実に物理学者が縛られていた
|> ためである。
|> (確かに、ペンローズの定理はトポロジーに強く
|> 依存しているので、特異点の湾曲については何も
|> 語らない。つまりその潮汐重力の詳細については
|> 何も語らない。この定理はたんに、ブラックホール
|> の内部のどこかで、時空が終わり、その終点に到達
|> したものは何であれ破壊される、と述べるにすぎ
|> ない。どのように破壊されるか、これは湾曲の領域
|> である。要するに破壊されること−時空には終わり
|> があること−、これはトポロジーの領域である。)

|> ペンローズ以前にも、もし物理学者が湾曲の問題
|> の先を眺めさえすれば、相対論がまさにトポロジー
|> の問題、「時空には終わりはあるのか(時空が存在
|> しなくなるような端はあるのか)?」や「たがいに
|> 信号を送ることができるのは時空のどの領域か、
|> それができないのはどの領域か?」といった問題
|> を扱っていることに気づいただろう。今挙げた
|> トポロジー的問題の最初のものは、特異点にとって
|> 中心的な問題である。二番目のものは、ブラック
|> ホールの形成と存在にとって、そして宇宙論にとっ
|> て(宇宙の大規模構造と進化にとって)中心的な
|> 問題である。

|> こうしたトポロジー的な問題はたいへん重要で、
|> トポロジーという数学的道具はそれを扱ううえで
|> たいへん強力なので、ペンローズはわれわれに
|> それを紹介することで、われわれの研究に革命を
|> 引き起こしたのだった。

===================
|> たとえば、コーヒー・カップとドーナツは
|> 「同じトポロジーをもつ」と言われる。
|> それは(もし、どちらもパテで作られていると
|> すれば)、滑らかに連続的に、図形を切り裂く
|> ことなしに、つまり連結を何ら変えることなしに
|> 一方の形から他方の形に変形できるからである。
|> これとは対照的に、球とドーナツは異なる
|> トポロジーをもつ。

この説明はトポロジーの説明としてよく用いられるものだと
思います。
トポロジーをうまく使えば、
何かとんでもなくすごいことがわかりそうな気がします。

それとか、ひもの結び目がどういう形になっているかとかも
多分トポロジーの一分野でしたよね。
テンセグリティーなんかぱっと見たらぱっとトポロジーが思
い浮かぶ人もいるでしょう。

こういうものの見方というのは、なにか参考になりそうな気
がします。


|> (確かに、ペンローズの定理はトポロジーに強く
|> 依存しているので、特異点の湾曲については何も
|> 語らない。つまりその潮汐重力の詳細については
|> 何も語らない。

なるほど、このように、使い方のポイントみたいなものがわ
かると、同じようなことができるかもしれません。

実際の音高については何も語らないが、線と線の関係とか、
カチッとした楽譜のほかに、こういうトポロジー的な考え方
はなにか役に立つかも知れません。

僕が共感覚と言っているのは、もしかしたらこのトポロジー
的なこととも関係あるような気がします。
もちろん抽象的なものではなくて、感覚的なものではあるん
ですが。
まあその形自体は抽象的なものになるでしょうが。

===================

|> ∇例えば、”おいしさ”の要素である「まったり」、
|> 「さっぱり」、「うまみ」、「辛さ」、「甘さ」
|> などの刺激を特定の”コラム”で受けるところまで
|> は以下の本などに紹介されています。
|> ところが、これらコラムで受けた情報から、統合
|> されたクオリアを形成する時、脳の中で何がおき、
|> どのようにして人はクオリアを感じることができる
|> のかはわかっていません。
|> 非常に不思議なことですね。

|> 「わがままな脳,澤口俊之,筑摩書房」より
|> ・昆虫類や甲殻類、頭足類などの無脊椎動物では、
|> 一個のニューロンが相当の重みをもっていて、
|> ある一つのニューロンが活動しただけで逃避行動
|> などのまとまった行動が発現されることがある。
|> だから、こうした動物では一つのニューロンが
|> 死ぬことは大事件につながりかねないが、哺乳類
|> ともなるとそうではない。

|> 私たちヒトを見ても、成人で平均すると一日に
|> 10万個以上のニューロンが大脳皮質から失われて
|> いることは既に述べた。大脳皮質は脳の大部分を
|> 占める領域で、知覚や記憶、思考、判断などの
|> 精神活動は主にこの領域でなされるので、これは
|> 大変なことのように思えるが、しかし「大事件」
|> になっていない。ヒトを含めた哺乳類では、多数
|> のニューロンが集団をつくって、ある特定の
|> まとまった働きを担っているからだ。

|> ・この問題に積極的に取り組み、そしてその解答
|> を出したのが実はヒューベルとその共同研究者
|> だったウィーゼルなのである。

|> 1960年代から70年代にかけてのことだが、彼らは
|> ネコの第一次視覚野(大脳皮質で最初に視覚入力
|> を受ける領域)のニューロンが視覚刺激にどの
|> ように応答するのかを精力的に調べ、重要な発見
|> をした。ある特定の視覚刺激に応じる(つまり、
|> 特定の働きに関係する)ニューロンは多数あり、
|> 大脳皮質の表面から深部にかけて、皮質表面に
|> 対して垂直なグループをつくっているということ
|> である。その機能グループの幅は0.5ミリメートル
|> ほどで、円柱状ないし直方体状をしている。

|> これこそが前項で述べた「コラム」なのである。
|> その高さは2〜3ミリメートル(=皮質の厚さ)で、
|> 中には数万個のニューロンが含まれている。
|> そして、こうしたコラムが複数集まって、心の
|> 単位とも言うべき領野・モジュール(=一まとまり
|> のコラム群)がつくられるのだ。
===================

|> ∇例えば、”おいしさ”の要素である「まったり」、
|> 「さっぱり」、「うまみ」、「辛さ」、「甘さ」
|> などの刺激を特定の”コラム”で受けるところまで
|> は以下の本などに紹介されています。
たとえば、「まったり」と「さっぱり」は違うコラムで
受けとるということですね。
これは面白いですね。
「まったり」とか「さっぱり」とかという「言葉」と関
連付けなければならない点が我々の思考というもの自体
不自由なものではありますが、なんとなく雰囲気的に、
特定の部位が反応するという感じは理解できます。
そのそれぞれの部位の反応の強さぐあいとかで統合する
のですかね。また、その部位は、先に述べた、「その言
葉」の意味によってその「部位」という分割が可能とな
ると考えると、もともとは幅を持ったコラムがいくつも
寄り集まっているというより、連続的なものがあるとも
いえるかも知れませんね。あるいは、似ている属性でも
離れたところにあったりするかも知れませんが。
脳全体の詳細なコラムの地図みたいなものがあるといい
のですが。

===================

|> ∇人の脳は複雑な構造を持っていて、いろいろな
|> 感覚器官からの刺激を受ける場所や情報の処理の
|> 流れは、ほぼ決まっているようですが、これらの
|> 感覚、たとえば聴覚なども一つの部位で音という
|> 刺激を受け取っているのではなく、その中にある
|> いくつものコラムによって、例えば、音楽を聴く
|> 場合は、メロディ、コード、リズム、ピッチ、
|> ラウドネス、トーン・カラーなどに分けて刺激を
|> 受け取っているようです。
|> そして、これらコラムの性質は例えば、音楽経験
|> があるかどうかによってなど過去の経験から影響
|> を受けています。
|> そのため、感じ方に個人差が生じるのですが、
|> コラムで受け取った刺激は統合され一つの音楽と
|> いうクオリアとして意識で感じるわけです。
|> ところが、意識で感じることができる範囲は狭い
|> ため、音楽に注意を集中していると、視覚などの
|> 他の感覚器官で受けた刺激までは意識に登らなかっ
|> たりするのかもしれません。
|> が、無意識の領域では何らかの感じを感じている
|> のかもしれませんね。それが時々、意識の層に
|> 顔を出し何らかの雰囲気を加えることがあるの
|> かもしれません。
|> また、受け取った刺激は、もし何か不足があった
|> としても過去の経験によって補間され、場合に
|> よっては実際に聞いている、あるいは見ている
|> ものとかなり異なったものとして認識されること
|> もあるのかもしれませんね。
|> こういう場合は錯覚と言われていますが。
|> また、異なった感覚器官からの刺激が、もし
|> 別の感覚刺激を受け取る部位に係わる神経間
|> で、クロストークしてしまうと”共感覚”が
|> 生じますが稀なことのようです。
===================
錯覚で思い出しましたが、何かの展示会で、人が繰り返
し「ま」といっている映像とあわせて、繰り返し「か」
だったかを言っている音があって、ヘッドホンで音を聴
くんですが、映像を見ながら聴くのと見ないで聴くのと
で、聞こえ方が変わるというのを体験したことがありま
す。

音楽経験があるかどうか、、、確かに違うはずです。自
分でも過去と今では全然違います。

メロディ、コード、リズム、ピッチ、ラウドネス、トー
ン・カラーなど、、
これもまた、現在使われている「言葉」ですね。
異なる分類の仕方をすると、コラムの地図がちょっと変
わったりするかも知れませんね。

たとえば、局所的な構造とか、トポロジーとか、、、、
いや、これはまた違う脳の働きのはなしかもしれません
が。

僕が見えるといっているのは、このような感覚刺激の神
経間のクロストークというよりも、もうちょっと後のは
なしかもしれません。
音が聞こえているのだけどそれを視覚で解釈しようとす
るような感覚とでも言いますか、、、、
めをつぶると、他に見るものがないですから、よりはっ
きりします。

まあそれから、研究者が使う音楽がどんなものかによっ
ても、ずいぶん変わると思いますね。

単純なメロディーだったら、一音一音について結果が出
たり、オーケストラの曲だったら、あまり細かいことは
わからなかったり、、、

複雑なメロディーだったら、、、複雑な和音だったら、
、、

===================

|> ∇部分と全体が重なり合っているという感じです。
|> 自然界はフラクタルな構造を持っている、
|> と言われていますが、感覚器官も例外ではない
|> のかもしれませんね。
===================

なるほど。局所的座標系的な見方とか、トポロジー的な
見方とか、フラクタル的な見方とか、、、、




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