Re: 意識の大会(ちょっと古いですが)


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投稿者 松本 日時 2000 年 8 月 18 日 15:44:29:

回答先: 意識の大会(ちょっと古いですが) 投稿者 松本 日時 2000 年 8 月 18 日 12:52:25:

以下、補足です。

意識とは?
 このことを考える下準備として、いくつかの異なった
分野の人たちの考えや、その基となった実験結果などに
ついて以下に一部ですが整理してみました。
 尚、これ以外にも必要な分野があり、まだ抜けている
と思いますが。とりあえず。

「量子効果」に関して基本的作用はQEDで説明されて
いますが、もちろん波動関数の収縮なども含めて考える
ことになります。

「QED」・・・まだ未完成ですが
・ファインマンの言葉によると、
「目に見える膨大な自然の多様性のほとんどすべてが、
まさに三つの基本的な作用の単調な繰り返しの結果なの
である。」すなわち、ある場所から別の場所への光子の
移動、ある場所から別の場所への電子の移動、そして
電子と光子の相互作用の三つである。
 たとえば二つの電子が一つの光子を交換して相互作用
する場合、一つの電子が光子を放出しすぐそのあとで
(あるいはかなりあとで)もう一つの電子がそれを吸収
することになる。
 しかし、まったく同じ可能性で二つ目の電子が「未来
において」光子を放出し、その光子が時間を逆にたどり
「過去において」一つ目の電子に吸収されるとしなけれ
ばならないのだ。光子については時間が意味をもたない
ことは、とりわけ理解しがたいというわけではない。
 しかし、電子にも同じことがあてはまるのである。

「意識と脳と量子効果」の関係については、エックルスや
ペンローズ、スタップらの考えがあります。

「意識と量子効果」
・ヘンリー・スタップに対するコメントによると、
 脳は原子からできておりそれゆえ波動力学の法則に
したがわねばならない、とするベルのコメントと定性的
には何ら変わるところがない。
 まただからといって、脳のもつこのような量子的性質
ゆえに、人工的なコンピュータは意識などもてるわけが
ないということでもない。
 そう主張しようとする人はいるが、結局のところ
コンピュータであっても原子でできており、量子力学の
法則にしたがうものなのだ。
 かりに、シナプスにおいてカルシウムイオンが量子的
不確定性の領域に入り込むということが意識の重要な
構成要素であるとすれば、この振る舞いを取り入れた
人工脳を考案するのは原理的にそれほど困難なことでは
ないであろう。

Henry Stapp,Mind,Matter,and Quantum Mechanics
(Berlin:Springer-Verlag,1993)
 量子論と意識の問題に関するスタップの論文集で一部
難解であるが、彼の考えが少しずつ異なる形で何度か
述べられているので、我慢強い読者であればおおよその
問題点をつかめると思う。精神と物質のミステリーに
ついて深く知るためには、努力して一読する価値はある。

「脳と意識」の関係については、最近のfMRIやPET
など脳波計以外の測定器の発達でかなりのことがわかって
きました。量子効果を考慮としないで意識についての解明
が進んでいます。

「脳と心の地形図」(リタ・カーター)
・赤ん坊の脳には、おとなが持っていないものがある。
 たとえば聴覚と視覚の連絡、さらに網膜と視床(音
情報を受け入れるところ)の連絡である。
 そのため幼児は、音を「見た」り、色を「聞いた」
りすることもある。これがおとなになっても続くと、
共感覚とよばれる状態になる。
 また赤ん坊は感情を劇的に表すが、意識的な感情
体験と結びつく部分は、実はまだ機能していない。
 つまり赤ん坊が表す感情は無意識のものと考えら
れる。
 「無意識の感情」という表現は矛盾しているよう
にも思える。意識にのぼる感覚でなければ、感情とは
いったい何なのか?しかし認識できる感情というのは、
生存のためのメカニズムのなかではごく小さい、ときに
本質的ではない一部分に過ぎない。その生存メカニズム
は、おとなでさえもほとんどは無意識に働いている。
・共感覚とは、音、視覚、触覚、味覚、嗅覚といった
感覚が混ざり合ってしまう状態をいう。
 音が見えたり、景色が匂ったりと、あらゆる感覚の
組み合わせが報告されている。
 共感覚は、ただ話の種で片づく問題ではない。
 感覚的な認知や外界の状態についての私達の見方を
根本的にくつがえしてしまうからである。
 音を音として、また景色は景色、匂いは匂いとして
成立させているものは、いったい何だろう?
 波の強さや分子構造だろうか?
 手がかりは、私たちの感覚器官、つまり目や耳、鼻、
舌、それに皮膚にある体性知覚のレセプターにある。
 それぞれの器官は、分子や波、振動といった取り扱
う刺激にあわせて巧妙に発達している。
 このように多様化しているとはいえ、どの感覚器官
も電気パルスに変換するという基本作業は変わらない。
 パルスはどこまで行ってもパルスのままで、それ
自体が赤い色になるわけではないし、電気エネルギー
のちょっとした変動にすぎない。しかも感覚器官は、
入ってきた刺激を区別するというより、より似通った
ものに変えてしまうのである。
 すべての感覚刺激は、ニューロンの活動で生じた
電気パルスの流れになって、ドミノ倒しのように
決まった経路を伝わっていく。
 起こることはそれだけで、途中で電気活動を光や
分子に戻す逆変換器があるわけではない。
 同じような電気パルスの流れが、なぜ視覚に
なったり、匂いになったりするのかは、刺激される
ニューロンで決まる。
 正常な脳では、入ってきた感覚刺激はしっかり
定まった経路を通って、感覚器官から脳の決まった
目的地に運ばれる。
 電気パルスの流れは途中で枝分かれして、脳の
いろいろなモジュールが同時処理を行う。
 そんなモジュールのひとつが大脳皮質−脳の外側
を覆うしわだらけで灰色の部分で、ここでは視覚と
音が合わさって、意識が形成される。
 大脳辺緑系は、刺激を受けて身体反応を起こし、
さらに感情に訴える特性を与える。
 音の羅列を音楽と感じ、線のパターンや色彩の
コントラストを美しいと思えるのは、大脳辺緑系
のおかげである。
 各感覚を担当する皮質部分は、より小さい領域の
パッチワークになっていて、それぞれが感覚認知の
特定の部分を受け持っている。たとえば視覚野は、
色、動き、形などの領域に分かれる。
 視覚野に集められた外からの情報は、次に連合野
というより大きな皮質部分に送られ、ここで適切
な連想と結びつけられる。
 入ってきた情報はこの段階まで来てはじめて、意味
のある完全な認知になる。
 私たちが思い描くことは、外界からの刺激がきっかけ
になっているが、その世界を忠実に反映しているという
より、むしろ独自に構築しなおしたものなのある。
・共感覚の人は、一度にひとつの感覚しかもてない人
より、明らかに豊かな世界を体験しているはずだ。
 皮質による情報分類を場合に応じて切り替えること
ができれば、目の前には驚くほど多彩な世界が広がる
だろう。
・外からの情報はたくさんの流れになって入ってくる
が、そのうちひとつが大脳辺緑系を通るとき、反射的
な認識が起こる。脳のモジュールが、情報のなかから
感情的な内容を記録する。
 対象をすでに知っていることも、その情報に含ま
れる。この作業はあっというまに行われるので、
意識的な脳が対象を見極めるより早く、それを知っ
ているかどうか無意識な脳が判断するのである。
 この種の認識は意識までおよばない。
 しかし強い認識になると、かすかな感覚となって
感じることができる。
 だがそれが何かを見極めるには、意識的な脳が
加わらなくてはならない。
 意識的な認識は、皮質の感覚野から隣接する連合野
に行く経路で起こる。ここでは、何かが一致した
ときに刺激が起こる。物体が目に入ったとき、側頭葉
の下のほうにある連合野が分類を開始する。
 最初は、生きているかいないか、おそらくは人間か
そうでないかといった大ざっぱな分け方である。
 次に左側頭葉が、物体に名前をつけようとする。
 同時にもっと上の頭頂葉では、空間のなかで物体
の位置を見定めようとする。
 音が聞こえているときも同じで、言葉か動物の
鳴き声か、近くか遠くかといった判断が聴覚連合野
でなされている。
 認識が完全なものになるには、脳全体にたくわえ
られている記憶から情報を呼び出し、ただの刺激に、
意味を持つ連想で肉付けしなければならない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そんなこんなで
意識と脳と物理学との関係を絵にしてみました。

・・・┏━━━━━┓・・・┏━━━━━┓
・・・┃意識は脳の┃・・・┃意識は脳の┃
・・・┃中にある。┃・・・┃外にある。┃
・・・┗━━━━━┛・・・┗━━━━━┛
・・・・・・┠――――――――┓・┃
・・・┏━━━━━┓・・・┏━━━━━┓
・・・┃古典力学に┃・・・┃量子力学に┃
・・・┃したがう。┃・・・┃したがう。┃
・・・┗━━━━━┛・・・┗━━━━━┛
・・・・・・┃・・・・・・・・┃・┃
・・・┏━━━━━┓・・・┏━━━━━┓
・・・┃未来は決ま┃・・・┃未来は決ま┃
・・・┃っている。┃・・・┃っていない┃
・・・┗━━━━━┛・・・┗━━━━━┛
・・・・・・┃・・・・・・・・┃・┃
・・┏━━━━━━┓・・・┏━━━━━━┓
・・┃人間には自由┃・・・┃人間には自由┃
・・┃意志がない。┃・・・┃意志がある。┃
・・┗━━━━━━┛・・・┗━━━━━━┛
・・・・・・┃・・・・・・・・┃・┃
・・・・・・┠――――――――┛・┃
・・┏━━━━━━━┓・・┏━━━━━━━┓
・・┃コンピュータは┃・・┃コンピュータは┃
・・┃意識を持てる。┃・・┃意識を持てない┃
・・┗━━━━━━━┛・・┗━━━━━━━┛
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
注:意識が脳の外にあるとは、下記の場合かな?
チョット矛盾がありますが。
┏━━━━━┓┏━━━━━┓
┃意識は細胞┃┃意識は原子┃
┃の中に在る┃┃の中に在る┃
┗━━━━━┛┗━━━━━┛
┏━━━━━┓┏━━━━━┓
┃意識は空間┃┃すべては、┃
┃の中に在る┃┃意識である┃
┗━━━━━┛┗━━━━━┛




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