投稿者 Vosne 日時 2004 年 5 月 27 日 22:54:18:
「脳はいかにして＜神＞を見るか，PHP研究所」より
・宗教に対して懐疑的な人々ならば、神との合一の
ような宗教的な体験や、こうした体験に対する普遍的
なあこがれの生物学的な起源は、間違って発火した
神経細胞の集団が誘発する幻覚として説明できると
言うかもしれない。
・けれども、SPECTスキャンは、これとは別の可能性
を示した。
それは、方向定位連合野は普段と違った方法で機能
しているが、間違いは犯していないという可能性
である。
われわれは、ロバートの脳のSPECT画像に見入り
ながら、ヒトの脳にはたしかにリアルな
スピリチュアル体験をする能力が備わっている
と確信した。
ロバートは瞑想によって、彼自身のより深く、
よりスピリチュアルな要素を見出し、それと
一体化できると言っていた。
彼はまた、その要素こそが絶対的・普遍的な
リアリティーであり、われわれはそれによって、
他のすべての存在と結ばれているのだとも言っていた。
われわれヒトには、物質的な存在としての自己を
超越する能力があるのだ。
コンピュータ・スクリーンに映し出された色鮮やかな
SPECT画像こそは、この能力の基礎となる神経学的過程
が脳の中で起きていることの証拠ではないか？
・宇宙を創造し、それを維持する機構の追求に生涯を
捧げた二人の偉大な思想家は、科学よりもっと深い
レベルでは、ほとんど同じ認識を持っていた。
アインシュタインにとって、この認識は、自分より
大きな存在へのあこがれというかたちで現れていた。
彼はこれを、「宇宙的な宗教感覚」と呼んでいた。
”宇宙的な宗教感覚の意識をまったく持たない人に、
この感覚を説明することは非常に難しい。
そこには、人間的な神はいない。
人はただ、人間的な欲望や野心が無に等しいことを
感じ、自然界と思想の世界の両方に驚くべき崇高な
秩序が存在していることを感じるのだ。
そのとき、個人としての存在は自由を制限する牢獄
となり、彼はひたすら、深い意味をたたえた一つの
全体として宇宙を感じたいと願うのである。”
・シュレーディンガーによれば、アインシュタインが
あこがれた全体性は、万物が一つであるという認識に
よって満たされる。
”常識的には思いもよらないことかもしれないが、
意識を有する存在は皆、「万物」なのだ。
もちろん、あなたも例外ではない。
ゆえに、あなたの生も、存在の一部ではなく、
すべてであると言えるのだ。
（中略）こうして、あなたは大地に身を投げ出して、
手足を思いきりのばせるようになる。
自分は母なる大地の一部であり、彼女は自分の一部
であるという、その確信に嘘はない。
あなたは、大地と同じだけ、いや、大地の一千倍も
確かな存在なのだ。”
・生物学者エドウィン・シャルガフは、本物の科学者
は皆、「物質世界には、巨大で、知ることのできない
何かが存在しているという神秘的な直感」に突き動か
されているもので、「一生のうち少なくとも数回は、
目に見えない巨大な顔と対面し、その息づかいを感じ
て涙を流したり、背筋が凍るような思いをしたりする
ことがなかったとしたら、その人は科学者ではないの
だ」とまで断言している。